子どもの夢の叶え方

第19回 内田まほろさん(日本科学未来館キュレーター)

2015年に日本科学未来館で開催した企画展「チームラボ 踊る!アート展と、学ぶ!未来の遊園地」は大成功を納めました。キッズイベントの読者の方も見に行った方は多いでしょう。内田まほろさんは、日本科学未来館で次々と話題の企画展を実現しているキュレーター。現在、2016年3月2日(水)から開催される企画展「GAME ON 〜ゲームってなんでおもしろい?〜」の準備を進めています。キュレーターという仕事、そして子どもにはあまり触れさせたくないゲームの企画を、なぜ日本科学未来館が取り上げたのか、その真意や見どころ、そして進化する情報技術がもたらす私たちの未来について、お話を聞かせていただきました。(インタビュー:2016年1月15日(金) / TEXT:キッズイベント 高木秀明 PHOTO:大久保景)
キッズイベント「子どもの夢の叶え方」第19回 内田まほろさん(日本科学未来館キュレーター)インタビュー

日本科学未来館のキュレーター 内田まほろさん。現在、2016年3月2日(水)から開催される企画展「GAME ON 〜ゲームってなんでおもしろい?〜」の準備を進めている。「GAME ON」の見どころや今後のゲーム、AIなど、近未来について、いろいろお話いただきました

「未来」など、見えないものを展示
日本科学未来館のキュレーターはプロデューサー的なお仕事も

ー 2015年5月まで開催されていた企画展「チームラボ 踊る!アート展と、学ぶ!未来の遊園地」は、大盛況でしたね。

企画展の閉まる16時30分くらいになると「帰りたくない!」と泣き叫ぶお子さんたちがいて、そんなことは初めてでしたね。お父さんに抱えられて連れ去られるように帰られた方もいらっしゃいましたし、常設展などを見てからもう一回来ようって約束したんでしょうね。「もう一回入るのっ!」って入口で地団駄踏んで泣いている子もいました。地団駄ってこういう風に踏むんだって、久しぶりに見ました(笑)。

企画展「チームラボ 踊る!アート展と、学ぶ!未来の遊園地」体験レポートはコチラ!

ー 最近「キュレーション」や「キュレーター」という言葉をよく聞きますが、内田さんのキュレーターとしてのお仕事はどのようなものですか?

便宜上「キュレーター」と言っていますが、仕事内容としてはテレビやイベントのプロデューサーに近いかなと思っています。基本的には、ある専門性を持って企画を立て、展覧会を実現するところまで持って行くのがキュレーションという仕事の骨格です。しかし、たとえば美術の場合は、その展覧会に合った作品を選ぶというのが一番大切な仕事で、展示の方法は基本、並べるディズプレイです。

キッズイベント「子どもの夢の叶え方」第19回 内田まほろさん(日本科学未来館キュレーター)インタビュー

企画展は、そのおもしろさを成長させていくメディア。何度も楽しめるのは、内田さんのような仕事をする方々の、こういう努力があるからなんですね

ー 展示したい作品を集められるかが大切なんですね。

そうです。だから美術や歴史系の博物館にいる方々は、この宝物はどこの美術館やコレクターが持っているかなど、そういう知識やつながりが一番の価値になります。

でも日本科学未来館の場合は、展示する内容自体が「未来」「ナノテク」「素粒子」「iPS細胞」など、見ることが不可能なものやなかなか見えないものを扱うので、その世界観を想像できるストーリーを立て、視覚化することが必要です。そこでデザイナーやアーティスト、ミュージシャンなど、才能ある方々に関わっていただき、視覚化する方法を探っていきます。そこをアレンジメントするというのは、キュレーションというよりも、プロデュースとかディレクションという仕事になると思っています。

展覧会が開催してからも、お客様からのフィードバックを取り入れて日々修正しています。私は「四次元メディア」という言い方をしていますが、長期間の展覧会は時間軸で少しずつ変わっていくメディアだと考えています。開催期間中にイベントを入れたり、今日のように取材があっていろいろなメディアの方に紹介していただいたり、それぞれの専門家がいろいろな仕掛けをつくり、最終的にひとつの展覧会として、おもしろさを生き物のように成長させていくことを目指して、しつこく、細かく見て考えて、修正するようにしています。

ー お客様のフィードバックによって、具体的にどんな変化をされたことがありますか?

細かいところでは説明文がわかりづらいというのがあれば書き換えたり、ワークシートをつくって展示を回りやすくしたり、より見やすくするために照明を変えたり。

一般的に企画展は常設展よりオープン時の完成度は低いんです。常設展は長持ちさせるためにオープンの1ヵ月半くらい前からランニングテストを行ない、テスト参加者の意見を聞いて修正し、かなり詰めてから一般公開します。しかし企画展の場合はそこまで時間をかけられません。オープニングの日の朝まで準備に追われていることも多いので、オープンしてから最初の1、2週間はいろいろ変わりますね。そこがやっかいで、でも楽しいところですね。

たとえば2015年の企画展「チームラボ 踊る!アート展と、学ぶ!未来の遊園地」。私自身もあれほど頻繁に内容が変わった企画展は初めてでした。チームラボさんの希望もありましたが、インタラクティブな展示の反応がもっと早い方がいいとか、もっとタメた方が楽しいんじゃないかとか、お客様の動きからわかることも多いので、相当頻繁にチューニングしました。「3D お絵かきタウン」では最終的に街の種類が7〜8バージョンにまでなりましたし、企画展の後半には新作も追加され、作品数自体も増えましたね。

3D お絵かきタウン
クルマやビル、UFOや宇宙船など、みんなの描いた絵が3Dとなり、宇宙のまちをつくっていく作品。

キッズイベント「子どもの夢の叶え方」第19回 内田まほろさん(日本科学未来館キュレーター)インタビュー

「大変な方がたのしいですよね?」と内田さん。毎年2〜3つほどの企画展を手掛ける。今年は4月にオープンする常設展の大規模なリニューアルも控えている

大変な方が楽しい! 企画展「GAME ON」ただいま準備中!

ー 今は3月開催の企画展「GAME ON 〜ゲームってなんでおもしろい?〜」の準備の真っ最中だと思いますが、どこまで進んでいるのですか?

企画のメンバーで喧々諤々、私はこのゲームを入れたい、僕はこれを入れたいというのがありましたが、やっと取り上げるべき120以上のゲームタイトルのリストができて、9つのゾーンに分けた展示会場の、どこにどのゲームを置くかなどを考えています。

あとはインタビューの展示や、ソニーさんが提供してくれるバーチャルリアリティ(VR)システム「PlayStation® VR」の運用方法をどうするかとか、いろいろと仕掛けもあるので、そのコンテンツづくりを進めています。

また、これから1ヵ月かけて展示物のコンテンツホルダーから展示の許諾をいただく作業を進めます。3週間後にイギリスからセットアップのクルーが来て、2週間後には荷物が届くので、その頃から “ウワーッ!”となってきますね。

ー すごく大変そうですけど、お顔を見ていると楽しそうですね。

楽しいですよ、もちろん! 大変な方が楽しくないですか? 紙のメディアは二次元のプランニングを二次元のものにしますが、私たちは二次元で考えたことを2週間くらいで “ガッ”と空間に立ち上げて、そこをお客様が歩けるようになるんです。その2〜3週間が、すごく楽しいんですよね。紙のうえで考えていたものが目の前に現れると、あっ、あれがこうなるんだとか、思った通りにできているとか、ここはもうちょっとこっちにしておけば良かったとか。

■ 次ページはゲームのノウハウが社会を、教育を、世の中を変える!

キッズイベント「子どもの夢の叶え方」第19回 内田まほろさん(日本科学未来館キュレーター)インタビュー企画展「GAME ON〜ゲームってなんでおもしろい?〜」

前代未聞の“ゲーム”をテーマにした企画展「GAME ON 〜ゲームってなんでおもしろい?〜」が、2016年3月2日(水)〜5月30日(月)まで、日本科学未来館(東京・お台場)で開催します。

本企画展はコンピュータやインターネットなどの情報技術とともに進化を続け、世界中のエンターテイメントを変えたテレビゲームの進化を一望する展覧会です。2002年に英・ロンドン市のバービカン・センターでの開催以来、世界中を巡回し200万人以上魅了してきました。

日本初上陸となる本展では、「ゲームってなんでおもしろい?」をテーマに、オリジナルコンテンツを多数追加! リアルとの領域を越え、実社会に大きな影響を与えるようになったゲームの社会的、文化的な意味について、そして未来について、来場者のみなさんとともに考えます。

キッズイベント「子どもの夢の叶え方」第19回 内田まほろさん(日本科学未来館キュレーター)インタビュー内田まほろ

日本科学未来館 展示企画開発課長 キュレーター。アート、テクノロジー、デザインの融合領域を専門として2001年より勤務。2005年〜2006年から文化庁在外研修員として、米ニューヨーク近代美術館(MoMA)に勤務後、現職。企画展キュレーションとして「時間旅行展」「恋愛物語展」「THE 世界一展」「チームラボ」など多数。シンボル展示「ジオ・コスモス」のプロデュースでは、ビョークやジェフミルズとのコラボレーション企画を手がけるなど、大胆なアート&サイエンスのプロジェクトを推進している。慶応義塾大学大学院、政策メディア研究科修士。チューリッヒ芸術大学、舞台・展示空間学(セノグラフィー)修士。

■ 日本科学未来館

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