みんなの声で「こども予算」を倍増!

「#子育て無料社会」の実現を掲げる認定NPO法人フローレンス 井上衣織さんインタビュー!

「訪問型病児保育」「障害児保育」「こども宅食」「ひとり親家庭支援」など、子どもや親子の社会課題の解決に取り組んでいる認定NPO法人フローレンス。2022年に起きた通園バスでの児童置き去り事件をきっかけに、通園バス置き去り防止装置の義務化を推進したのもフローレンスだ。そんなフローレンスが2023年2月22日(水)、子育て世代を支援するサイト「こども予算倍増キャンペーン 〜#子育て無料社会の実現〜」をオープン! 子育てにかかる基本的な費用を無料にするにはどれくらいの予算が必要かを試算、それによりどんな未来が訪れるかを見せてくれる。中心メンバーのひとりで4歳のお子さんの子育て真っ最中の井上衣織さんに、どうすれば「子育て無料社会」が実現するか、お話を伺いました。(インタビュー:2023年3月17日(金)/TEXT:高木秀明/PHOTO:大久保景)
※インタビュー記事は2023年3月17日(金)時点のものです。子育て支援にまつわる政策は刻々と変化しており、状況が異なることがあります。あらかじめご了承ください。

「#子育て無料社会の実現」を掲げる認定NPO法人フローレンス 井上衣織さんインタビューの写真

「子育て無料社会」を実現するにはどうすればよいか、「こども予算倍増キャンペーン 〜#子育て無料社会の実現〜」立ち上げ中心メンバーの井上衣織さんにお話を伺いました

出産費用、保育料、給食費、大学までの教育費
子育ての基本的なサービスをすべて無料に!

― 岸田文雄首相が年頭会見で「こども予算倍増」と発言し、この4月には「こども家庭庁」も発足します。遅きに失した感はありますが、国の子育て支援や少子化対策に対する機運がようやく高まってきたと感じます。そんな中、フローレンスさんが「こども予算倍増キャンペーン 〜#子育て無料社会の実現〜」というWEBサイトをオープンしました。立ち上げるに至った経緯を教えてください。

フローレンスでは「親子の笑顔をさまたげる社会問題を解決する」ことを目標にさまざまな社会課題に取り組んでいますが、子どもや親子に関する政策に世間や国の注目を集めることの難しさを日々実感しています。しかし、ついに「子ども予算倍増」という発言があり、いきなり子どもに関する政策が注目されはじめました。このタイミングを逃さずにフローレンスが理想とする子ども政策をアピールしていこう、ということではじまりました。

“このまま少子化が進むとヤバい!” という暗い話よりも、子ども予算が倍増されたら “こんなに素敵な社会になるよ” という楽しくてワクワクする未来を伝えたいと思い、出産から大学卒業まで、子育てに必要な基本的なサービスをすべて無料にするにはどのくらいの予算が必要かを独自に試算し、それぞれの金額を出してみました。日本の国家予算114兆3,812億円(2023年度)から考えると決して難しくはないと感じるのですが、いかがでしょうか?

「#子育て無料社会の実現」を掲げる認定NPO法人フローレンス 井上衣織さんインタビューの写真

こども予算倍増キャンペーン 〜#子育て無料社会の実現〜
「子育て無料社会」にするのに必要な予算やその理由を、かわいいイラストでわかりやすく紹介している
https://kodomoyosan-baizou.florence.or.jp

子育て世代が抱く、今、そして未来への “絶望”
「子育て無料社会」の実現に向け声をあげてほしい

ー 井上さんは4歳のお子さんの子育て中で、まさにこの話題のど真ん中の方ですね。

1歳で保育園にあずけるのは意外と保育料がかかるんだとか、この先、子どもをひとり育てるのに1千万〜2千万円かかると聞くと、大学まで卒業させてあげられるのかという不安を感じますし、まわりともよく話しあうテーマなので、まさに自分ごととして取り組むことができました。

最初の頃に考えていたのは、今ある子育て政策のマイナス部分を0にする、たとえば保育所の配置基準を見直そうとか、不便をなくすことに目を向けていました。しかし実際に子育て世代が望んでいることを調べていくと、私たちが思っている以上に不安やあきらめ、絶望に近い想いを抱いていることを思い知らされ、もはや細かな政策を改善するだけではどうにもならない、もっと抜本的な大きな絵を描かないと、日本が子どもに優しい国になることはないと感じました。

ー 子育て世代の不安やあきらめを払拭するにはどうしたらいいか、安心して子どもを産み、育てる環境が必要ということから、子育てにかかるお金を無料にしてしまおうという「子育て無料社会」という目標が出てきたんですね。実現するにはお金が必要ですが、日本は他の先進国と比べて対GDP比の家族関連支出が極めて少ないです。この原因は何だと思われますか?

政府が具体的にどのように考えて予算を分配しているかは正確にはわかりませんが、いろいろと調べたり考えたりする中で、日本という国が “社会で子どもを育てよう” という気持ちが薄くなっている。北欧のように生まれてから大学卒業までの公教育がすべて無料という国と比べると、「好きで子どもを産んだんだから教育費は親の責務」というような、親にすべての責任があるかのような状況は感じました。

「#子育て無料社会の実現」を掲げる認定NPO法人フローレンス 井上衣織さんインタビューの写真

「子どもの教育費は親の責任?」というのは以前から議論されていることですが、子どもの教育費を親だけに負担させている限り子どもの数は増えそうもありません。北欧やヨーロッパなどで教育が無料や少ない負担で受けられるのは、それが国益につながるとわかっているからです

― 日本の未来を担うのは子どもたちなので、親だけに任せるのではなく社会としても支えてほしいですよね。それでは「子育て無料社会」を実現するために、私たちができることはどのようなことでしょうか? 子育て世代の方々、子育てが終了した方々など、ライフステージによってできることは異なりますか?

子育て世代の方には、この問題をもっと自分ごとに感じていただければと思っています。ニュースなどで騒がれている「子ども予算倍増」や「子育て支援」を、ただ受身で待っているのではなく、どのような政策があるといいかなどを主体的に考えて、ハッシュタグを付けた「#子育て無料社会」で声をあげてほしいと思います。このサイトが、そのきっかけや、あげていただいた声の受け皿になってほしいと思っています。

すでに子育てを終えた方などには、今の子育て世代の置かれている状況を知っていただきたいという想いがあります。多くの子育て世代との話やデータを見ても、数十年前よりも給料は上がらないのに物価や教育費は上がり、また消費税や社会保険料などの税金も上がっています。共働きしないと家計を維持できない家庭の比率も増え、核家族化も進み孤独な子育ても問題になっています。
※大学の授業料はこの40年間で4倍程度増加。
※所得に占める税金や社会保険料などの割合「国民負担率」は2022年度は47.5%と、所得の半分近くを税金が占める。20年前の2002年度は35%、2013年度以降40%を超えている。

「今は昔と違って児童手当があるから恵まれている」「自分たちの頃は自力でなんとかしたのに、今の子育て世代はがんばりが足りない」のように思うのではなく、今、実際にこれだけ苦しんでいる人がいて、それは “日本社会の問題なんだ” ということを知っていただきたいですね。




知ること、シェアも “応援” のひとつ
代弁者となり次の一歩へつなげる

ー 先ほど「子育て世代が望んでいることを調べた」とおっしゃっていましたが、どのように調べられたのでしょうか?

フローレンスでは保育園事業を運営したり、常に未就学児の子育て世代とは深い関わりを持っているので、たくさんの方から日常的にお話をお伺いしています。その中で、やはり多くの方が抱えているのが、今この瞬間もですが、将来の金銭的な悩みです。

ー 私もこの十数年、常に来学期の授業料をどうするかが頭にあり、それをどうしのぐかで将来までは考えられず、その気持ちは痛いほどわかります。「子育て無料社会の実現」を応援する方法として「サイトのシェア」「寄付」「SNSのフォロー」があります。フローレンスの駒崎弘樹会長も「知ることも立派なアクションのひとつ。このサイトをSNSでシェアしたり、感想や子育て中の困りごとを発信して広めてください」とおっしゃっていますが、発信された “声” は政府や「こども家庭庁」などへ伝えたり、提言などに利用されるのでしょうか?

今、Twitterやキャンペーンサイトで募集している声は、ある程度集まったら国に伝えることも検討しています。今回のキャンペーンサイトに限らず、私たちは常に子育て世代から困りごとや苦しんでいることをお伺いし、それを解決するために新たな事業を起こしたり、国へ政策提言しています。

子育て中のお母さん、お父さんは仕事や家事など日々の暮らしでいっぱいいっぱいですし、政策に不満があってもどのように声を伝えていいかわからないことが多いと思うので、そういう方々の代弁者としてフローレンスがその声を届けたいと思っています。

ー 自分たちの声を受け止めてくれるところがあるのは安心ですし、実際に提言などで政府に届けていただけるのは、自分も参加していると感じられ、もっと声をあげよう、みんなで協力しようと思いますよね。一方で、声をあげると叩かれるという風潮もありますが、声をあげることに不安や怖さはありませんか?

「子育て無料社会」は一見すると非現実的に感じるかもしれませんが、調査をしたり試算をした結果の金額を見ると無理な数字ではありません。今、本当に必要な政策だと自信を持って提言しているので、批判を恐れるということは、これに関してはないですね。

たくさんの提言をしている中でネガティブな反応が返ってくることもありますが、そこは信念を持って発信しているので、むしろ戦うべきところは戦いますし、政府にとって耳が痛いことも、多くの方の代弁者として伝えなければならないと思っています。

2022年10月の通園バスの児童置き去り事故では、すぐに署名運動をして、園バスへの置き去り防止装置の設置義務化を実現しました。この事故は、特に子育て中の方にとっては人ごとではない身につまされる信じられない事故と感じた方が多かったと思います。しかし、そう感じても何をすればいいのかわからないことも多いと思うので、フローレンスがそういった声の受け皿になり、次の一歩を実施していく。ひとつの声だと小さくて届きづらいことも、たくさんの声なら届きやすくなります。必要なことは批判を恐れず、これからもどんどん発信していきます。

「#子育て無料社会の実現」を掲げる認定NPO法人フローレンス 井上衣織さんインタビューの写真

フローレンスも政策などに反対の意思表明をすることがあります。ですから批判はすべて受け止めつつも、必要なことは発信していくというのが、フローレンスの役割だと思っています。怖いから発信しないということはなく、発信すべきだからする、というスタンスです

「子育て罰」から「子育ては楽しいもの」へ
“シチズンシップ” で社会の不寛容の解消を

―「こども予算倍増キャンペーン 〜#子育て無料社会の実現〜」では、予算を倍増するための方法については書かれていません。財源確保については、どのようにお考えですか?

国の予算のどこから財源を持ってくるかに関しては、フローレンスが言えることではないのかなというところもあってサイトには記載していないのですが、たとえば「子ども国債」を発行するなど、今ののっぴきならない少子化を止めるには、そういう手段をとってでも未来への投資として確保すべき財源かなと思っています。

― 明石市の泉房穂市長が行った少子化対策の財源は、主に土木費の削減でした。フローレンスとして、ここの予算をこっちに、みたいなことはやっぱり難しいのでしょうか?

なかなかそこまでは踏み込めないですね。でも防衛費をポンっと1.6倍にできるのであれば、「子育て予算も2倍にしようよ!」と、押していきたいですね。

※防衛費は2023年度からの5年間で総額43兆円、従前5年間の総額27兆円の約1.6倍にあたり、27年度にはGDP(国内総生産)比2%となる。一方、子育て関連はGDP比1.79%(2017年)。これはフランス3.6%の約半分、経済協力開発機構(OECD)平均の2.34%も下回る。

― フローレンスさんの「子育て無料社会」には大賛成です。私も子どもが2人いて、もう大学生ですが、教育費のことを考え3人目は難しいと判断しました。当時「子育て無料社会」だったら、おそらくチャレンジしたかなと思います。将来の金銭的負担が大幅に軽減されるのは、少子化対策や子育て環境の向上に大きなメリットがあると思います。一方、金銭的なことだけでなく、子どもや子育て世代に対する社会の不寛容の解消も大きな要素だと感じています。たとえば妊婦の方に対する気遣い、公共交通機関でのベビーカー、公園での子どもの声など。この解消はどのようにお考えですか?

「子育て無料社会」で打ち出したいメッセージとして、本来 “子育てって楽しいものだよね” ということがあります。今は子どもを産むと自分もすごく大変だし、一歩外に出れば社会に、そして会社にもお休みなどで迷惑をかけるとか、子どもを産むことがとてもマイナスなものになっていて、経済的なことも含めて「子育て罰」などと不名誉な言われ方もされています。しかし社会全体に「子育てっていいものだよね、楽しいよね!」と思ってもらえるようにしたいと思っています。

私たちは “シチズンシップ(参加的な市民)” が重要と考えていて、フローレンスが運営する保育園では「シチズンシップ保育」を行なっています。子どもたち自らが保育園のルールづくりに参加したり、みんなが楽しめるよう貢献したり、子どもが自分の意見を言い、それを実現できる教育を行なっています。

公園も子どもの意見を聞く「シチズンシップ公園」にできたら良いと考えています。今の公園は子どもが大きな声を出せない、ボール遊びもできないというところが多くなっています。しかし本来、公園は子どもが遊ぶべき場所で、それは子どもの権利です。だからこそ、その主体者である子どもたちが、大人のルールに従うのではなく、自分たちでルールを決めて遊べる公園にしていこうと発信しています。

この “シチズンシップ” を世に浸透していくことで、つくられたルールに従うだけではなく、子どもたちはもちろん当事者も意見を言い、まわりと協力しつつ主体的にルールづくりに参加する。それによって社会の不寛容は少しずつ解消していけるのかなと考えています。

※シチズンシップ(citizenship):「国籍」や「市民権」という意味ですが、ここでは「参加的な市民」という意味合い。子どもたちも含め生活を左右したり社会の仕組みに影響をおよぼす政策に、自分たちの意思を反映しようとすること。つくられたルールに従うだけではなく、自らも当事者として意見を言い、他者と協力しながら主体的に課題に取り組むこと。

「#子育て無料社会の実現」を掲げる認定NPO法人フローレンス 井上衣織さんインタビューの写真

本来、子育てって楽しいもの。その気持ちを今の子育て世代、次の世代に取り戻してもらいたい。「シチズンシップ」は、そこにつながる考えだと思っています

「こども家庭庁」に期待すること
世界に先駆けて「子どものWell-being」のKPIを

ー “シチズンシップ” の考え方は、この4月に発足する「こども家庭庁」の理念 “こどもまんなか社会” にもつながりますね。

具体的な例では孤独な子育てを解消するための保育園の活用です。現在の保育園は就労要件などを満たし保育園の必要性が認められないと入れません。しかし、そうすると幼稚園に入る前の0〜2歳のお子さんのいる専業主婦家庭のお母さんは、ひとりでずっと養育する “孤独な子育て” になります。

そこで、地域や人とのつながりを持てる場として週に1回、2回と定期的に保育園を利用できるよう提言しています。今や待機児童の問題はほとんど解消され、逆に保育園には空きが出てきている状況です。この空きを活用できればと考えていて、「こども家庭庁」の来年度予算のモデル事業として実施することが決定しました。また「こども誰でも通園制度(仮称)」として制度化される見込みとなったので、今後は使いやすい制度になるよう提言を続けていきたいと思っています。

ー ひとつ改善すると、また新たな問題が出てきます。解決できていない既存の問題もありますし、状況にあわせて常に改善、解消の道を探ることが必要なんですね。4月1日(土)に発足する「こども家庭庁」には、どのような期待をされていますか?

縦割り行政や年齢の壁が原因で課題の解決に至らないことをたびたび目にしているので、まずはそこの解決に大きく期待しているところです。

もうひとつお願いしているのは、“子どものWell-being” を、ぜひKPI(目標として数値化)にしていただきたいということです。

これまで日本の子どもに関する政策はいろいろと行われていますが、どの政策が有効だったのかというデータはほとんどありません。なので多くの業務で行われているPDCAサイクルのように、これをしたから子どもの幸福度がこれくらい上がったなど、検証できるデータをとってほしいと思っています。先進的な取り組みをしている県で結果が出ているのでモデルにしてみましょうとか、そういったことにも使えると思います。

ー 日本の子どもたちの自己肯定感は他国と比べてとても低いと言われています。

日本は身体的な健康度はとても高いのですが、精神的な健康度が低いことが指摘されています。子どものWell-beingのKPI化を、日本が「こども真ん中社会」となるひとつのきっかけにしていければと思っています。

※子どものWell-being(ウェルビーイング):子どもの心身の健康、幸福度のこと。日本人の子どもたちの幸福度や自己肯定感は他国と比べても低く、OECD加盟38ヵ国中33位(参考:東洋経済ONLINE https://toyokeizai.net/articles/-/639215)。

※KPI(ケーピーアイ:Key Performance Indicator):重要業績評価指標。目標達成の過程における達成度や進捗を計測・監視するための定量的な目標数値。

※PDCAサイクル:Plan(計画)、Do(実行)、Check(測定・評価)、Action(対策・改善)を循環させることで、継続的に改善を促す方法。

「#子育て無料社会の実現」を掲げる認定NPO法人フローレンス 井上衣織さんインタビューの写真

大人のWell-beingは世界的に測られていますが、子どもはしっかりと行われていません。こども家庭庁ができるタイミングで日本が率先してはじめることで、世界を引っ張っていくこともできると思います

子育て世代に優しい社会は
全世代にとって働きやすい社会

―「こども予算倍増」や、さまざまな子育て世代の支援策に対して、自身が該当しないためよく思わない方もいます。また「出産で奨学金の返済減免」はとても良い案だと感じましたが、奨学金を借りずになんとかやりくりした方などは損をした気持ちになるかもしれません。万人に公平は不可能ですが、なるべく不公平を出さない支援策は、どのようなものがあるとお考えでしょうか?

子育て世代は特別な優遇をしてもらいたいのではなく、そもそも今の置かれている状況が不公平だと感じているので、せめて同じにしてほしいという想いです。今後もし子育て支援が手厚くなったとしても、それは極端な優遇ではないんじゃないかなと感じます。

「子育てが楽しい社会」「みんなで子どもを育む社会」というのは、社会全体をもっと良くしていこうというムーブメントでもあります。なので個人対個人であっちの方が優遇されているとか、そのようには捉えてほしくないなと思っています。

― 先日、三井住友海上火災保険が7月から「育休を取得した社員の同僚に最大10万円の一時金を支給する」というニュースを見ました。民間企業の例ですが、このような不公平を感じさせない取り組みが増えるといいですよね。

子育てと両立しやすい働き方、つまり「みんなで子どもを育む社会」というのは、自分の勉強や趣味にも取り組みやすい社会だと思いますし、介護もしやすいと思います。子育て世代が働きやすくなることは、結局、全世代にとって働きやすくなることだと思っています。

三井住友海上火災保険:育休職場応援手当(祝い金)の創設 〜育休を取得したら同僚に応援手当 最大10万円〜(2023年3月17日)
https://www.ms-ins.com/news/fy2022/pdf/0317_1.pdf

「#子育て無料社会の実現」を掲げる認定NPO法人フローレンス 井上衣織さんインタビューの写真

三井住友海上火災保険さんの取り組みは、すごくいいと感じました。いろいろなところで、もっと自由で柔軟な働き方が進んでいくといいですね

子ども食堂に、困りごとの相談
保育園を新たなセーフティーネットに

―「みんなで子どもを育む社会」のため、今、フローレンスさんが取り組んでいることにはどんなことがありますか?

先ほど、保育園の空きを活用して孤独な子育ての解消に役立てたいとお話ししましたが、保育園を地域のハブにしていきたいと考えています。

そのひとつに保育園での子ども食堂があります。実際にフローレンスで運営している江東区東雲の保育園では月に2回、在園児と近隣のご家族に向けて子ども食堂の取り組みを行っています。キャパシティの問題もあるので1回に20名ほどの親子という今はまだミニマムな規模ですが、参加枠はすぐに埋まってしまうほど盛況です。

この取り組みでいろいろなご家族と交流できたとか、保育園に入るか悩んでいて見に来たという方もいれば、いつも接している幼稚園の先生ではなく、保育園の先生にも子どもの様子を見てもらい子育ての相談をしたいといらっしゃる方もいます。

ー 子ども食堂に行くと貧困だと思われるので敬遠される方もいますよね。

フローレンスでは貧困家庭の方限定とはせず、最初は在園児とそのお母さんやお父さんを対象に「迎えに来てから夕食の用意は大変ですよね?」というところからスタートしました。でも困っている方にはちゃんと支援が届くようなリレーションもつくっていきたいと思っています。

なかなか自分から「困っています」とは言えませんし、困りごとも経済的なことをはじめ多種多様です。保育園で交流を持ち相談しやすい関係をつくり「困っています」とお伝えいただけたら、すぐに支援につなげられる体制を整えることも、保育園がハブになることで可能になると思っています。保育園ができることって、まだまだたくさんあると考えています。

この子ども食堂の取り組みは、今は一部フローレンスへの寄付で行っています。このようなフローレンスの活動も知っていただき、応援していただけると嬉しいですね。

「#子育て無料社会の実現」を掲げる認定NPO法人フローレンス 井上衣織さんインタビューの写真

フローレンスで運営している保育園での子ども食堂の様子

「子育て無料社会」をみんなで実現!
希望に満ちた子育て世代の姿を次世代へ

ー「子育て無料社会」が実現すると、経済的に親御さんが楽になるのはもちろんですが、親のストレスが軽減されることで子どもの精神面、環境面にも良い影響があると感じています。「子育て無料社会の実現に向けた大きな “うねり” を起こしたい」と考えられていますが、 “うねり” を起こすため、今後はどのようなことを考えていますか?

twitterなどのSNSで、5つの「子育てサービス無料」の中から、自分はこれが実現するといいなとか、ここにはないけど多くの方が望んでいることなど、意見やアイデアを、ぜひ「#子育て無料社会」をつけてつぶやいて、教えてほしいですね。私たちも、どのようにしたらみなさんからご意見をいただけるかを考えながら、今後も取り組んでいきたいと思っています。

小さいお子さんがいると忙しいですし、政治は少し遠い存在で、自分ひとりが声をあげてもどうにもならないという虚無感もあります。このサイトが、多くの方にとって政治に参加し社会を変えるきっかけ、受け皿になればと思っています。そしていただいた声を、フローレンスがみなさんの代弁者として行動を起こし、一緒に実現していきたいと思っています。

ー 今後の目標は?

「子どもを持つのは楽しいことなんだ!」ということを、今、子育てしている方に取り戻していただけるようにしていきたいですね。

そしてアンケート結果を見ると、今の若者は「子どもを持つことが不安」と思っています。私たち今の子育て世代がSNSなどで子育ての金銭的、精神的辛さをつぶやいてしまうので、産む前から「子育てって辛いんだな」と思わせてしまっている反省もあるので、希望に満ちた子育て世代の姿をお見せしていきたいなと思っています。

「#子育て無料社会の実現」を掲げる認定NPO法人フローレンス 井上衣織さんインタビューの写真

「子どもを持つのは楽しいこと」ということを、私自身も「希望に満ちた子育て世代の姿」で次世代へ伝えたいですね

インタビュー後記

フローレンスさんを知ったのは、今から13年ほど前、2010年に出版された駒崎会長(当時はNPO法人フローレンス代表理事)の著書『「社会を変える」お金の使い方』でした。急な熱などで保育園にあずけることができなくなったお子さんをあずかる「病児保育」というサービスを寄付で実現するまでのことが書かれているとともに、“寄付” という、多少おさまりの悪さを感じるものが、実は未来への投資であり、巡り巡って自分にも返ってくるという、寄付に対する意識を180度変えてくれるものでした。

フローレンスさんはその後も着々と困っている子どもや親子に向けたサービスを拡大するとともに、「医療的ケア児支援法」の成立や、インタビュー記事にもある「通園バスへの置き去り防止装置設置義務化」の制度化に寄与するなど大きな影響力を持つようになり、「社会を変える」ということを実践し、見せ続けてくれている存在です。2022年12月には児童虐待防止を目的とした「#ふるさと納税でこどもを助ける キャンペーン」も実施していました。

こども予算倍増キャンペーン 〜#子育て無料社会の実現〜』は、そんなフローレンスさんが立ち上げたもの。2023年度に一気に「子ども予算倍増」を実現するのは難しいものの、みんなで声をあげ続けることで実現に近づくと信じていますし、一刻も早く実現したいとも思っています。

2006年に『キッズイベント』を立ち上げたのは、親子で楽しむことで、子どもたちに “子育てって楽しいんだよ” ということを伝えたかったから。そんな子どもたちが大人になれば、子どもや子育て世代に優しい社会を築いてくれると考えたからです。『こども予算倍増キャンペーン 〜#子育て無料社会の実現〜』は、多くの方の希望や夢を叶えるものだと感じます。

井上さんの「子育て世代に優しい社会は、全世代にとって働きやすい社会」という言葉はとても印象的でした。#子育て無料社会 で声をあげ、誰にとっても優しい社会を実現したいですね。

こども予算倍増キャンペーン 〜#子育て無料社会の実現〜
認定NPO法人フローレンスが2023年2月22日(水)に「子育て無料社会」を実現するべく立ち上げたWEBサイト。出産から大学卒業まで、子育てに必要な基本的なサービスをすべて無料にするにはどのくらいの費用がかかるのかを独自に試算、「子育て無料社会」が実現可能であることを伝えている。親だけが子育てをする社会から、社会全体で支え、育むことがあたりまえの社会へと変革し、誰もが希望すれば安心して産み育てられる未来をめざしている。
https://kodomoyosan-baizou.florence.or.jp


「#子育て無料社会の実現」を掲げる認定NPO法人フローレンス 井上衣織さんインタビューの写真井上衣織

2022年12月、認定NPO法人フローレンスに入社。政策提言チームに所属しており、「子育て無料社会」の提言を検討した中心メンバーのひとり。4歳のお子さんを育てている子育て世代でもある。

認定NPO法人フローレンス
「いろんな家族の笑顔があふれる社会」をめざす社会課題解決集団。「訪問型病児保育」「障害児保育」「小規模保育園」「医療的ケア児・障害児家庭支援」「特別養子縁組」「にんしん相談」「こども宅食」「ひとり親家庭支援」「ソーシャルワーク」などの事業の他、「シチズンシップ保育」「働き方改革」など、国内の親子領域の課題を解決するため、各種支援事業や政策提言活動、ソーシャルアクションを行っている。

https://florence.or.jp

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