手塚治虫『火の鳥』展 開催記念!

手塚治虫「火の鳥展」生物学者・福岡伸一 × 恐竜博士・真鍋真トークイベント「福岡ハカセと恐竜博士が紐解く、『せいめいのれきし』とセンス・オブ・ワンダー」で、火の鳥、人類の進化の謎を解く!

手塚治虫「火の鳥展」生物学者・福岡伸一 × 恐竜博士・真鍋真トークイベント「福岡ハカセと恐竜博士が紐解く、『せいめいのれきし』とセンス・オブ・ワンダー」の画像

手塚治虫『火の鳥』展の開催を記念して、2025年4月26日(土)に行われた福岡伸一先生と真鍋真先生のトークイベント。 “火の鳥” にも “恐竜” にも興味がある者としては、まさに夢のような組み合わせ。貴重なお話をたくさんしてくれました

手塚治虫先生がつなぐ縁
福岡ハカセと恐竜博士の
トークイベント

生物学者・福岡伸一先生と古生物学者・真鍋真先生が、宇宙のはじまりから人類誕生までの壮大なストーリーについて話をするトークイベント「福岡ハカセと恐竜博士が紐解く、『せいめいのれきし』とセンス・オブ・ワンダー」が、2025年4月26日(土)に開催されました。

このトークイベントは展覧会「手塚治虫『火の鳥』展-火の鳥は、エントロピー増大と抗う動的平衡(どうてきへいこう)=宇宙生命(コスモゾーン)の象徴-」の開催を記念して行われたもので、生命(人類)が誕生するまでの進化をやり直したり、西暦3404年の未来も描く壮大なスケールの命の物語『火の鳥』を、真鍋真先生が古生物学者の視点からどのように見ているのか非常に興味があり参加させていただきました。

【イベント紹介】手塚治虫「火の鳥」展 -火の鳥は、エントロピー増大と抗う動的平衡=宇宙生命の象徴-




手塚治虫『火の鳥』展-火の鳥は、エントロピー増大と抗う動的平衡=宇宙生命の象徴-」はマンガ『火の鳥』初の大型展覧会で、直筆原稿を中心に映像、関連資料をはじめ『火の鳥』の世界観を表現したグラフィック等、計約800点の展示を通して、企画監修を行なった生物学者・福岡伸一先生が、この壮大な叙事詩を生命論の視点から読み解くというもので、2025年5月25日(日)まで東京シティビュー(六本木ヒルズ森タワー52階)で開催中です。

『火の鳥』は数々の名作を生み出した手塚治虫先生が “自らのライフワーク” と宣言したもので、1954年から死の直前となる1988年にわたり描き続けられ、また自らの死の直前に『火の鳥』完結の物語を「一コマでも描く」と言明していたほどの作品。残念ながらその約束が果たされることはありませんでしたが、同展では福岡伸一先生がその最後の一コマを推定していることでも注目されています。福岡伸一先生の展示解説の動画や展覧会の様子については、ぜひレポートをご覧ください。

【レポート】手塚治虫「火の鳥」展で、生きる意味を問う。2025年3月7日(金)~5月25日(日)東京シティビューで開催!

手塚治虫「火の鳥展」生物学者・福岡伸一 × 恐竜博士・真鍋真トークイベント「福岡ハカセと恐竜博士が紐解く、『せいめいのれきし』とセンス・オブ・ワンダー」の画像

「手塚治虫『火の鳥』展-火の鳥は、エントロピー増大と抗う動的平衡=宇宙生命の象徴-」は、2025年5月25日(日)まで東京シティビュー(六本木ヒルズ森タワー52階)で開催

恐竜博士から見た火の鳥とは?
進化をやり直しても人類は誕生するのか?

トークイベントの冒頭、福岡伸一先生は「上から読んでも真鍋真、下から読んでも真鍋真」と真鍋真先生を紹介し笑いを誘いますが、真鍋真先生のお父さま真鍋博氏は、星新一、筒井康隆などのSF小説の挿絵を描いていた有名なイラストレーターで、手塚治虫先生とも交流があり、真鍋真先生も小学生のときに手塚治虫先生とお話ししたことがあるそう。

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「真鍋真というユニークな名前をつけたお父さんの真鍋博氏は著名なイラストレーターで、手塚治虫とも交流がありました」と、生物学者・福岡伸一先生

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小松左京氏、手塚治虫先生、真鍋博氏が写っている写真も残っている。また漫画の中にも真鍋博氏がキャラクターとして登場している

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真鍋真先生は小学校低学年くらいの頃、お父さんと一緒に手塚治虫先生に会ったこともあり、その際「アトムを10万馬力から100万馬力にしてほしい」と直訴したそう。当時、『地上最大のロボット』というお話しでプルートゥというロボットに対抗するためには10万馬力では力不足で、100万馬力にパワーアップするかが検討されていました。「おそらくたくさんの子どもたちから同じような要望がたくさんあったんでしょうね。手塚先生は苦笑いしていました」という真鍋真先生に、「うらやましすぎるエピソード」と福岡伸一先生

福岡伸一先生が「恐竜博士から見て、火の鳥とは何なのか?」に真鍋真先生は「エビデクシブテリクス」という1億6000年前の羽毛恐竜をスクリーンに表示。「これが火の鳥の起源というつもりはありませんが」としつつ、火の鳥の中に恐竜っぽいところがないか探したが見つからず、しかし長い尾羽(飾り羽)に注目してこの羽毛恐竜を思い付いたとのこと。

「本来このような飾り羽は大人になってオスとメスを見分けるために出てきて、その魅力を感じて繁殖相手を選ぶのが一般的。しかし火の鳥はヒナのときから立派な飾り羽があり、もしかしたら成熟することとは関係がない存在なのかな、と感じました。そして、この飾り羽が火の鳥の重要な存在としてストーリーにも出てきます」と真鍋真先生。

続けて「前足にはどんな翼があったのかわかっていませんが、エビデクシブテリクスは “翼” という意味で、「エビデクシ」は “見せびらかす” “顕著な” というギリシア語からきていて、飾り羽のことを示しています。そんなつながりから火の鳥を思い出しました」。

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「エビデクシブテリクス」には4本の長い飾り羽があったことがわかっています。どのようにして羽の色がわかるのかについても説明していただきました

話は人類が滅亡し、もう一度生命(人類)が誕生するまでの進化をやり直す物語『火の鳥 未来編』へ。手塚治虫先生はナメクジのような姿をした生物が知性を持ち今の人類と同じような立場になっているというやり直された進化を描き、“同じ環境が整ったとしても同じ進化が起こるとは限らない” と問いかけています。

それに対して真鍋真先生は古生物学者としての立場から、生物の進化の過程や、恐竜絶滅の原因などについて語り、福岡伸一先生も生物学者として環境が進化のやり直しにどのような影響を与えるかについて言及。さまざまな奇跡があって、いま、われわれ人類がいるということに改めて気が付かされます。お話の詳細は、ぜひ動画をご覧ください。

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真鍋真先生が監修を務めた「せいめいのれきし 改訂版」や、『火の鳥』のコマを表示しながら説明をする真鍋真先生

おふたりとも訪れた1970年の大阪万博
開催中の大阪・関西万博では福岡先生の
生命進化を描き出すパビリオンも

1959年生まれで同い年のふたりは1970年に開催された大阪万博を訪れていました。手塚治虫先生もフジパン・ロボット館のプロデュースを行いロボットを展示、真鍋真先生のお父さまの真鍋博氏も三菱未来館のパビリオンの手伝いをしていたそうです。

手塚治虫「火の鳥展」生物学者・福岡伸一 × 恐竜博士・真鍋真トークイベント「福岡ハカセと恐竜博士が紐解く、『せいめいのれきし』とセンス・オブ・ワンダー」の画像

2025年3月6日(木)に開催された「手塚治虫「火の鳥」展 -火の鳥は、エントロピー増大と抗う動的平衡=宇宙生命の象徴-」のプレス内覧会で、大阪万博で手塚治虫先生がプロデュースしたフジパン・ロボット館に展示された「カメラロボット」について解説をする福岡伸一先生

1970年の大阪万博には岡本太郎氏が製作した「太陽の塔」があり、その中には「生命の木」という地球の進化の歴史を表した模型が展示されており、「小学5年生のときに行って、真鍋先生も行ったと思いますけど」という福岡伸一先生に、「エスカレーターで展示を見ながら登れるようになっていて、上にいくにつれて時代が新しくなって進化の様子が見られました」と真鍋真先生。

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未来を見せてくれた大阪万博。おふたりとも懐かしそうに当時を振り返っていました

現在開催中の「2025年日本国際博覧会(以下、2025年大阪・関西万博)」では、福岡伸一先生も命について考えた「いのち動的平衡館」というパビリオンをプロデュース。「柱が1本もないマンタのように柔らかく生命的な構造体のパビリオンです。光のインスタレーションで生命進化を描き出していて、『生命の木』のオマージュでもあります。単純なものが複雑化し、適者が生存し、弱肉強食で競争に打ち勝ったものだけが残ったという競争や闘争の歴史ではなく、むしろ協力や共生の結果、生命が大きく進化したという利他性の生命史を示しています」と福岡伸一先生。「ぜひ『火の鳥』展とともに『大阪万博』にも訪れてみてください」とトークイベントを締め括りました。

「手塚治虫「火の鳥」展 -火の鳥は、エントロピー増大と抗う動的平衡=宇宙生命の象徴-は」2025年5月25日(日)まで東京シティビュー(六本木ヒルズ森タワー52階)で、「2025年大阪・関西万博」は2025年10月13日まで大阪府大阪市此花区の夢洲で開催!

【イベント紹介】手塚治虫「火の鳥」展 -火の鳥は、エントロピー増大と抗う動的平衡=宇宙生命の象徴-

【レポート】手塚治虫「火の鳥」展で、生きる意味を問う。2025年3月7日(金)~5月25日(日)東京シティビューで開催!

手塚治虫「火の鳥展」生物学者・福岡伸一 × 恐竜博士・真鍋真トークイベント「福岡ハカセと恐竜博士が紐解く、『せいめいのれきし』とセンス・オブ・ワンダー」の画像

トークイベントでは真鍋真先生の恩師イェール大学のジョン・H・オストロム先生についても紹介。鳥類の恐竜起源説や、恐竜が活動的な動物だったなら爬虫類のような変温動物ではなく、我々のような恒温動物だったのではないかという恐竜温血説も提唱した、恐竜界に大きな貢献をした方。「すごく斬新な説で最初は反対する人も多かったんですが、どんどん支持を得て、今では小学生でも知っている有名な説になっています」と真鍋真先生。お酒が好きで質問をしてもあまり答えてはくれなかったが、自分も教える立場になり、良く方で考えれば、「自分で考えて自分で歩む、それを伝えたかったのかな」

手塚治虫「火の鳥展」生物学者・福岡伸一 × 恐竜博士・真鍋真トークイベント「福岡ハカセと恐竜博士が紐解く、『せいめいのれきし』とセンス・オブ・ワンダー」の画像

恐竜のネクタイで登場した真鍋真先生。「『火の鳥』は過去から未来、未来から過去を繰り返し収斂して現代に近づきます。子どもの頃にリアルタイムで読んでいたときは、どこまでその良さを理解できていたかはわかりませんが、いま振り返ってみると、こんなにダイナミックな時空を超えたストーリだったんだと、改めて魅力を感じます」

手塚治虫「火の鳥展」生物学者・福岡伸一 × 恐竜博士・真鍋真トークイベント「福岡ハカセと恐竜博士が紐解く、『せいめいのれきし』とセンス・オブ・ワンダー」の画像

トークイベントの最後には質疑応答の時間が設けられ、来場者からの質問にも答えてくれました

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