2020年6月12日(金)全国公開!

映画レビュー:ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語(2D・字幕版)

19世紀を代表する女性作家ルイーザ・メイ・オルコットの自伝的小説『若草物語』を、グレタ・ガーウィグ監督がモダンに生まれ変わらせた映画『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』が2020年6月12日(金)全国公開!映画『ストーリー・オブ・マイライフ』の感想、映画レビュー!
2020年6月12日(金)全国公開!
ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語

2020年/アメリカ/カラー
監督・脚本:グレタ・ガーウィグ
出演:シアーシャ・ローナン、エマ・ワトソン、フローレンス・ピュー、エリザ・スカンレン、ローラ・ダーン、ティモシー・シャラメ、メリル・ストリープ
配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント

【映画紹介・予告動画】ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語

鑑賞日:2020年2月17日(月)
TEXT:キッズイベント 高木秀明

“自分らしく生きたい” と奮闘する女性の物語
四人姉妹の絆と成長をハートフルに描く

「結婚しなくても幸せになれるこの時代に、私は、あなたと結婚したいのです」

これは2017年に話題となった、結婚情報誌『ゼクシィ』のコピー。今でも女性は結婚するのが当たり前、幸せと、その考えを押し付けてくる人はいるが、このコピーが多くの女性から共感を得た現実に、女性の意識、時代の大きな変化が見てとれる。

いつの世も、その時代の流れに疑問や違和感を持ち、“自分らしく生きたい” と奮闘する人がいる。その道は困難だが、そんな人々が今までにも多くの壁を打ち破り、自由の幅を広げてきた。女性の幸せについても、結婚だけじゃないと、そう考える先駆者はいた。

映画『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』も、そんな女性の物語。「お金持ちと結婚するのが女性の一番の幸せ」であるとともに、そうしないと女性にとって経済的な成功がない時代、結婚には目もくれず小説家を、経済的自立をめざすジョー・マーチ。名作は男性が書くものと思われていた時代だ。そんな時代にジョーは、自ら著作権を管理し、結婚に頼らない経済的成功を求めた。

19世紀を代表する女性作家ルイーザ・メイ・オルコットの自伝的小説『若草物語』を、グレタ・ガーウィグ監督がモダンに生まれ変わらせた映画『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』が2020年6月12日(金)全国公開!映画『ストーリー・オブ・マイライフ』の感想、映画レビュー!

原作は『若草物語(原題:Little Women(1868年刊)』。19世紀を代表する女性作家、ルイーザ・メイ・オルコットの自伝的小説で、南北戦争時代を舞台に、力強く生きるマーチ家の四人姉妹の絆と成長をハートフルに描いた。オルコットはジョーとして登場している。

『若草物語』は、“自分たちの日常の物語” を求めていた女性や少女たちからの支持を得て、初版は数日でなくなる大ヒット。55の言語に翻訳され、舞台、テレビ、映画、オペラやアニメ、絵本にもなり、今なお世界中で愛されている。オルコットは30編ほどの作品を世に送り出し、1888年に他界。生涯独身だった。




性別で縛られた人生からの解放
今だからこそ観る、今の『若草物語』

刷り込まれたり、押し付けられたりして、私たちは知らず知らずのうちに「女性性(女性らしさ)」「男性性(男性らしさ)」に縛られている。しかし最近は、「〇〇は女性がやるもの」という演出がなされたCMなどはバッシングを受けたり、炎上するようにもなった。

「女性性」「男性性」の認識はすぐには変わらないが、認識されはじめた今だからこそ、この映画を観てほしい。絶妙なタイミングでの公開だ。女性の幸せはもちろん、自分らしさ、自分らしく生きることについて考えさせられるとともに、性別で縛られた人生から解き放ってくれるかもしれない。

この物語は約150年も前に書かれたものだが、ジョーはそれ以降、考えを同じくするものの指導者的存在となった。その血は脈々と受け継がれ、ようやく今の世に花咲こうとしている。

19世紀を代表する女性作家ルイーザ・メイ・オルコットの自伝的小説『若草物語』を、グレタ・ガーウィグ監督がモダンに生まれ変わらせた映画『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』が2020年6月12日(金)全国公開!映画『ストーリー・オブ・マイライフ』の感想、映画レビュー!

四者四様の生き方、ストーリーに共感
“自分らしく生きたい” と願うすべての人に

同作は2020年の第92回アカデミー賞に「監督賞」を含む6部門にノミネートされ、「衣装デザイン賞」を受賞。衣装はもちろん、過去に一度も映画撮影がされたことのないアーノルド樹木園の庭での撮影など、その映像もとても美しい。

監督はグレタ・ガーウィグ。女優として『フランシス・ハ』(2012年)、『20センチュリー・ウーマン』(2016年)といった話題作に出演する一方、2018年に公開した初監督作『レディ・バード』で高い評価を得てアカデミー賞5部門にノミネートされた。

『レディ・バード』は高校生活最後の1年間を瑞々しく描いた青春映画で、今作でジョーを演じたシアーシャ・ローナン、ローリーを演じたティモシー・シャラメも出演している。

シアーシャ・ローナンは25歳という若さで、すでにアカデミー賞の常連と呼ばれるほどの天才女優。ティモシー・シャラメは『君の名前で僕を呼んで』で世界中から注目と賞賛を集め、今もっとも注目される実力派俳優だ。

監督のグレタ・ガーウィグは、シアーシャ・ローナンならジョー役を体現し、観客をジョーの気分や精神、考え方に共感させることができると確信していたそう。ティモシー・シャラメはジョーと深く関わる役。この3人の再びの共演も見どころのひとつだ。

19世紀を代表する女性作家ルイーザ・メイ・オルコットの自伝的小説『若草物語』を、グレタ・ガーウィグ監督がモダンに生まれ変わらせた映画『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』が2020年6月12日(金)全国公開!映画『ストーリー・オブ・マイライフ』の感想、映画レビュー!

長女のメグ役は『ハリー・ポッター』シリーズのエマ・ワトソン、三女のベス役はアメリカのケーブルテレビ「HBO」の『シャープ・オブジェクツ KIZU -傷-:連続少女猟奇殺人事件』で注目されたエリザ・スカンレン、そして常にジョーをライバル視している末っ子エイミー役を『ブラック・ウィドウ』への出演が決定した期待の新星フローレンス・ピューが演じる。それぞれが自分らしく生きるためにもがき、自信と進むべき道を見つけていく。

19世紀を代表する女性作家ルイーザ・メイ・オルコットの自伝的小説『若草物語』を、グレタ・ガーウィグ監督がモダンに生まれ変わらせた映画『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』が2020年6月12日(金)全国公開!映画『ストーリー・オブ・マイライフ』の感想、映画レビュー!

戦時中に一人で娘たちを育てる母親にはローラ・ダーン。性格のまったく異なる四姉妹を分け隔てなく包み込み、才能を伸ばしたマーミーは、とにかく素晴らしかった。とても穏やかに見えるが「実は短気」とジョーに告白するシーンは、同じ性格を受け継いだジョーとの親子の絆、そして娘への愛を感じる。

四姉妹の父方の伯母はメリル・ストリープが演じている。彼女は財産が女性に何をもたらすかをよく知っているリアリストで、「世界は希望通りにはいかない、世渡りの仕方を学べ」と、女性が生きていく厳しさを四姉妹に伝える。

伯母はマーミーとは対極の存在だ。マーミーは伯母の考えを肯定しつつ「でも、世界を変えようとすることはできる」というドリーマー。どちらの考えも正しい。

過去を回想しながら、頻繁に現在と過去を行き来して物語は進行する。子どもたちには少々わかりづらいところがあるかもしれないが、光や色の使い方による視覚的な区別もあり、わかりやすいように工夫されている。

四姉妹それぞれの考え、ストーリーもていねいに描かれ、四者四様の生き方を自分と重ね合わせることで共感できるポイントは多い。だからこそ最後のジョーの決断は、観る人によって意見の分かれるところだ。

“自分らしく生きたい” と願うすべての人に。『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』は、2020年6月12日(金)全国公開!

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