書籍「子どもの才能を引き出す最高の学び プログラミング教育」著者・監修者

プログラミング教育・プロスタキッズ代表 石嶋洋平さん、安藤昇先生インタビュー!

書籍「子どもの才能を引き出す最高の学びプログラミング教育」の著書で注目のプログラミングスクール「プロスタキッズ」代表の石嶋洋平さん、監修を務めたICT教育の第一人者で、佐野日本大学中等教育・高等学校ICT教育推進室室長の安藤昇先生に、プログラミングを学ぶ必要性、プログラミングによって養われる論理的思考力、2020年からの小学校のプログラミング教育必須化などについてお話をお伺いしました!シンギュラリティの起こった子どもたちが生きる未来ではお金に変わる新たな価値観が生まれる!
お話をお伺いした、書籍「子どもの才能を引き出す最高の学び プログラミング教育」の監修を務めた安藤昇先生。日本のICT教育の第一人者のひとり
書籍「子どもの才能を引き出す最高の学び プログラミング教育」の著書で、今注目のプログラミングスクール「プロスタキッズ」の代表を務める石嶋洋平さんと、佐野日本大学中等教育・高等学校ICT教育推進室室長であり、日本のICT教育の第一人者のひとり、本書の監修を務めた安藤昇先生に、2020年から小学校で必須化される「プログラミング教育」をはじめ、子どものうちからプログラミングを学ぶ理由や、養われる「論理的思考力」と「目標設計/設定力」など、プログラミングを学ぶ必要性、培われる能力について、お話をお伺いしました。さらに、AIの進化、シンギュラリティによって変化する社会、そのときに必要となる能力、考え方についても教えていただきました!(インタビュー:2018年8月21日(火)/ TEXT:キッズイベント 高木秀明/PHOTO:星野真)

プログラミングを普及させるため
打ち上げ花火で「STEAM」教育

ー 2018年8月11日(土)に開催された「東京花火大祭」で、プロスタキッズの子どもたちがプログラミングをした花火が打ち上げられました。自分たちでプログラミングした花火が打ち上がるのを見て、子どもたちの様子や感想はいかがでしたか?

石嶋洋平さん
意外と冷静で、「感動した!」というよりも「次はどうしよう」という感じでした。満足ではなく、“もっとこうしたい” と、次に向かっている子が多かったですね。

ー 花火というととてもアナログな感じがしますが、プログラミングとどんな関係があるんですか?

石嶋洋平さん
花火は「シーケンサー」というコンピュータで打ち上げの順番やタイミングを制御しているので、そこにはプログラミングが必要なんです。プログラムしたものを何度もコンピュータ上でシミュレーションし、修正や調整も行なっています。

書籍「子どもの才能を引き出す最高の学びプログラミング教育」の著書で注目のプログラミングスクール「プロスタキッズ」代表の石嶋洋平さん、監修を務めたICT教育の第一人者で、佐野日本大学中等教育・高等学校ICT教育推進室室長の安藤昇先生に、プログラミングを学ぶ必要性、プログラミングによって養われる論理的思考力、2020年からの小学校のプログラミング教育必須化などについてお話をお伺いしました!シンギュラリティの起こった子どもたちが生きる未来ではお金に変わる新たな価値観が生まれる!
2018年8月11日(土)に開催された「東京花火大祭」で、プロスタキッズの子どもたちがプログラミングをした花火が打ち上げられた

ー 子どもたちがプログラミングした花火が打ち上げられるのは世界で初めてとのことで、花火打ち上げ当日には自民党の野田聖子衆議院議員も見学にいらしたそうですが、このようなイベントを行なったきっかけは?

石嶋洋平さん
プログラミングを普及させるためのイベントを行なっているので、花火はそのひとつです。花火以外にもドローンレースなども行なっています。

少し前まで「STEM(ステム)」教育が必要と言われていました。「科学(Science)」「技術(Technology)」「工学(Engineering)」「数学(Mathematics)」の4つの理数系教育に力を入れ、科学技術やビジネスの国際競争力が高い人材を育てようというものです。そしてその本質は、知識を習得するだけではなく、“知識を活用する力を育成すること” です。

しかし今はそれに「Art(アート)」が追加され「STEAM(スティーム)」になっています。「teamLabチームラボ」や「Rhizomatiks Researchライゾマティクス リサーチ)」のように、工学だけどアーティスティックという、そういうのが流行っていて、わかりやすく言うとteamLabのようなものがSTEAMの最先端ですね。

そして子どもたちが猫型ロボットや、そういうキャラクターの花火を打ち上げたいと言うので、打ち上げパターンのプログラミングとデザインという、まさしく “STEAM” の取り組みを行ないました。来年も引き続き行ないたいですし、日本全国、海外展開もしたいと思っています。

多くの人が勘違い!?
小学校で必須化のプログラミング教育

ー 2020年から小学校でプログラミング教育がはじまります。しかし多くの方が勘違いしていて、プログラミングの教科ができるわけではありません。それぞれの教科の中に少しずつプログラミングの要素が入るだけです。小学校のプログラミング教育は、何を目的にどのような形になるでしょうか?

安藤昇先生
文部科学省が提言しているのは、昔の「読み・書き・そろばん」の「そろばん」部分が「プログラミング」になるという感じです。

たとえば駅の自動改札は、人と荷物が通過しても、コンピュータが人がひとりと認識します。このように私たちの身近なものは、“プログラム” で実現されているものがたくさんある、ということをわかってもらうことが非常に重要で、新たに必須化して教科の中に取り入れて学んでいこうということです。

自動販売機もわかりやすい事例なので、小学校のプログラミングで取り上げられると思います。

書籍「子どもの才能を引き出す最高の学びプログラミング教育」の著書で注目のプログラミングスクール「プロスタキッズ」代表の石嶋洋平さん、監修を務めたICT教育の第一人者で、佐野日本大学中等教育・高等学校ICT教育推進室室長の安藤昇先生に、プログラミングを学ぶ必要性、プログラミングによって養われる論理的思考力、2020年からの小学校のプログラミング教育必須化などについてお話をお伺いしました!シンギュラリティの起こった子どもたちが生きる未来ではお金に変わる新たな価値観が生まれる!
佐野日本大学中等教育・高等学校でICT教育推進室室長も務めている安藤先生。ICT環境を整え、生徒が1,500台のタブレットから学内ネットワークにアクセスできるようにした

ー 自動販売機はどちらかというとアナログな感じで動いていそうですが‥‥。

安藤昇先生
確かに、初期の自動販売機は中に人が入っているんじゃないかというくらい単純で、ボタンを押せば商品が出てくるというものでした。

しかし今では在庫管理を行ない、売筋によって陳列を変えたり、温度センサーと連動して温かい飲みものと冷たい飲みものの切り替えを行なったり、災害時には飲みものが無料になるというプログラムがなされています。

ネットワークも構築されていて、商品が足りなくなれば自動的に配送センターに連絡したり、自動販売機で活用されている「アルゴリズム(問題解決のための方法や手順)」や「プログラム(コンピュータに処理をさせるための指示書)」は、小学生から大学院生までのプログラミングの勉強に使えるほど幅広く、非常に奥が深い分野なんです。

また自動販売機はデータの収集にも好都合です。最近、駅に置いてある飲み物の自動販売機には顔認証システムが付いていて、購入者の年齢によっておすすめ商品を表示するものもあります。これは購入者の顔のビッグデータからAIが年齢を解析し、この年齢の方は「コーヒーが好み」などと判断して、おすすめを表示します。生産管理にも役立ちますね。

ー そうすると今、人がやっていることはデータを見ることと商品の補充、お金や缶、ペットボトルの回収くらいでしょうか?

安藤昇先生
電子マネーになるとお金の回収は必要なくなります。中国ではそうなりつつありますよね。すべて電子化される未来がまもなく来ます。商品も、そのうち自動販売機の中で生産できるようになるかもしれないですね。

書籍「子どもの才能を引き出す最高の学びプログラミング教育」の著書で注目のプログラミングスクール「プロスタキッズ」代表の石嶋洋平さん、監修を務めたICT教育の第一人者で、佐野日本大学中等教育・高等学校ICT教育推進室室長の安藤昇先生に、プログラミングを学ぶ必要性、プログラミングによって養われる論理的思考力、2020年からの小学校のプログラミング教育必須化などについてお話をお伺いしました!シンギュラリティの起こった子どもたちが生きる未来ではお金に変わる新たな価値観が生まれる!
「自動販売機は本当に奥が深いので、10時間くらい話せます(笑)」と安藤昇先生。さらに自動販売機は集めたビッグデータを警察と連動して防犯に活かしたり、街の見張り番としての役割も担うようになってきているそうです

プログラミングも “言語”
小さい頃から慣れ親しむことが重要

ー 書籍「子どもの才能を引き出す最高の学び プログラミング教育」には、プログラミングに向く子の条件が書いてありますが、子どもたちにプログラミングに対する苦手意識や拒否反応はありますか?

安藤昇先生
特に小さい子はありませんし、ゲームをつくりたいという目標がある子などは、夢中になって取り組みます。

それにすぐにプログラムのコードを書くわけではありません。最初は命令をわかりやすくひとまとめにしたブロック型の言語を使い、そのブロックを積み上げることで簡単なプログラムをつくり、思った通りに動く楽しさを学びます。

しかし複雑な命令になるとブロックを積み上げて制御することが難しくなりますし、そのやり方では手間がかかって面倒になってきます。

ところがコードなら1行の命令を書くだけでブロックの配置が変わったり、思い通りの命令を実行できるんです。これによってコーディング(プログラミング言語で命令文を書くこと。書かれたテキストは「ソースコード」「ソース」「コード」などと呼ばれる)の有効性を知り、自然と次のステップへ進むようにしています。

プログラミングも “言語” なので、日本語が話せる、英語が話せるというのと同じで、小さい頃から慣れ親しむことが重要だと思います。

書籍「子どもの才能を引き出す最高の学びプログラミング教育」の著書で注目のプログラミングスクール「プロスタキッズ」代表の石嶋洋平さん、監修を務めたICT教育の第一人者で、佐野日本大学中等教育・高等学校ICT教育推進室室長の安藤昇先生に、プログラミングを学ぶ必要性、プログラミングによって養われる論理的思考力、2020年からの小学校のプログラミング教育必須化などについてお話をお伺いしました!シンギュラリティの起こった子どもたちが生きる未来ではお金に変わる新たな価値観が生まれる!
「小学校ではプログラミングを教えられる人材が足りていないことも問題」と安藤先生。大人になると語学がすぐに身につかないように、プログラミング的な考え方を習得するのにも時間がかかるそう

プログラミングで養う「論理的思考力」
目標達成までの最短の方法を自ら考える

ー プログラミングは「論理的思考力」を養うということで小学校にも導入されますが、実生活ではどんなところに役立つでしょうか?

安藤昇先生
大人の話を聞いていてもわかりますが、論理的に話していると思っても、途中から感情論になっていたりします。今、社会で問題になっていることの多くは感情論に訴えることが多いですが、プログラミングの世界には感情はなく論理的に進むので、そこをしっかりと見抜ける力、ごまかしや嘘を見抜く力がつくと思います。

また、感情と思考とを分けて考えることができるようになるため、感情が入るとすんなりいかないことも、冷静に早く処理できるようになります。好き嫌いで「やる」「やらない」を決めなくなったりもしますね。

ー 書籍で大リーグのイチロー選手、サッカーの本田圭佑選手、ゴルフの石川遼選手の小学校時代の卒業文集に書かれた将来の夢についての作文や、大リーグの大谷翔平選手の目標設計の「目標達成シート」が掲載されていますが、大谷選手のシートの緻密さには本当に驚きました。しかし、おそらくですが、どの選手も子どもの頃にプログラミングは学んでいないと思います。それでも論理的思考ができているのはなぜだと思いますか?

石嶋洋平さん
目標があって、そこに最短で行き着くためにはどうしたらいかということを、小さいときから考えていたんでしょうね。どの選手の作文にも、いつ、どのようになるためには、いつまでに何をやるかを明確に書いています。また大谷選手の「目標達成シート」は「マンダラチャート」とも呼ばれますが、高校時代の監督、佐々木洋氏からの教えでつくったものだそうです。

安藤昇先生
イチロー選手はトレーニングをしたあと何分後にカロリーを摂取すると一番吸収されやすいとかスポーツを科学的に考えているんですね。そしてそれはとても論理的なものです。何かを突き詰めようとか、一番をめざそうと思ったときには、やはり感情や欲を除外した科学的、論理的な思考がないと、そこにはたどり着けないということだとも思います。

書籍「子どもの才能を引き出す最高の学びプログラミング教育」の著書で注目のプログラミングスクール「プロスタキッズ」代表の石嶋洋平さん、監修を務めたICT教育の第一人者で、佐野日本大学中等教育・高等学校ICT教育推進室室長の安藤昇先生に、プログラミングを学ぶ必要性、プログラミングによって養われる論理的思考力、2020年からの小学校のプログラミング教育必須化などについてお話をお伺いしました!シンギュラリティの起こった子どもたちが生きる未来ではお金に変わる新たな価値観が生まれる!
「最近はダメだと思ったらすぐに諦めて次に向かうという考え方をするけど、やっぱり続けることで開花する才能はある。有名なスポーツ選手はみんな尋常じゃない練習をし、毎日積み重ねたうえでの才能の開花。ちょっとやっただけでは何の才能も開花しない」という石嶋さんの言葉に、「『継続は力なり』とは、いい言葉ですよね」と安藤先生

小さい頃はいろいろな遊びを通して
何度も失敗を体験することが大切

ー 小学校でプログラミングが必須化されるまでは何をしたらいいですか?

安藤昇先生
プログラミングは「トライ アンド エラー」「スクラップ アンド ビルド」で積み上げていくものです。だから小さいときにいろいろな遊びの中で失敗を繰り返すこと、失敗に慣れておくことがとても大切です。

今はなるべく “失敗させないように” という風潮ですが、友だちとケンカして人間関係が悪くなるという経験をしてもよくて、遊んで、失敗して泣いて、怒られてっていうのが、プログラミングをやるときに、原因を究明し、どうやれば次は良くなるかを考えることにつながります。

冒頭の花火のプログラミングをした子どもたちも、自分がプログラミングをした花火を見ながら「次はどうしよう」と考えていて、非常にすばらしいですよね。満足したら終わりです。次をより良くするために考えること、創意工夫が重要なんです。

書籍「子どもの才能を引き出す最高の学びプログラミング教育」の著書で注目のプログラミングスクール「プロスタキッズ」代表の石嶋洋平さん、監修を務めたICT教育の第一人者で、佐野日本大学中等教育・高等学校ICT教育推進室室長の安藤昇先生に、プログラミングを学ぶ必要性、プログラミングによって養われる論理的思考力、2020年からの小学校のプログラミング教育必須化などについてお話をお伺いしました!シンギュラリティの起こった子どもたちが生きる未来ではお金に変わる新たな価値観が生まれる!
仕事がなくなると言われている「シンギュラリティ」、子どもたちが大人になったときの社会、これからの未来についてもお伺いしました

今のままでは海外の人たちに敵わない
教育のあり方を考え、先生も日々進化

ー 安藤先生は学校でも「ICT(Information and Communication Technology/情報通信技術)」を活用し、学内のどこからでもタブレットでネットにアクセスできるようにしました。学生に大きな変化はありましたか?

安藤昇先生
今まで紙で配っていたものがグループラインやネットワーク上になり、そうすると宿題は、単純に答えを記入するものでは、すぐに答えが出回ります。だから思考させる課題や途中の計算式を書かせないと、生徒の能力を計ることができなくなりました。これからの教育のあり方を学校全体で考える必要がありますし、先生も日々進歩しないといけません。

でもこれは一般の社会と同じですよね。AIが普及してきたら、単純な作業や、情報を覚えるだけの職業はなくなりそうです。その縮図が学校で実現できたのはよかったですし、タブレットを使いたいとか、そういうのを好む学生が入学するようにもなりました。

ー 国際社会で戦うのに、黒板と紙という武器ではもう太刀打ちできない。子どものうちからプログラミングを学んで、タブレットを使える環境を、とおっしゃっていますが、その理由は?

安藤昇先生
マレーシアで現地の小学生の遠足に出くわしたとき、生徒が全員、それぞれのタブレットとスマホを持っていたんです。先生に聞いたら、使わせないと「こういう便利なものをなぜ学校で使わせないんだ!」と父兄に怒られるというんです。

日本の場合は逆ですよね。漢字を覚えなくなるとか、辞書を使わなくなるとかで、学校への持ち込みは禁止です。でもタブレットなどを使うようになると、対処すべきことへのスピードが圧倒的に早くなるんですよ。

プロスタキッズの教室はグループウェアでサイボウズやチャットワークを使っていますが、それは伝達も早いし同時に2つ3つを並列して行うことができるし、エビデンス(証拠・形跡)も残るからです。

ところが紙と鉛筆ではひとつのことしかできないシングルタスクです。時間軸がまったく異なるので、高校、大学生になったときに、海外の人たちの処理スピードの感覚に追いつけなくなってしまうのではないか、そういう危惧があります。

書籍「子どもの才能を引き出す最高の学びプログラミング教育」の著書で注目のプログラミングスクール「プロスタキッズ」代表の石嶋洋平さん、監修を務めたICT教育の第一人者で、佐野日本大学中等教育・高等学校ICT教育推進室室長の安藤昇先生に、プログラミングを学ぶ必要性、プログラミングによって養われる論理的思考力、2020年からの小学校のプログラミング教育必須化などについてお話をお伺いしました!シンギュラリティの起こった子どもたちが生きる未来ではお金に変わる新たな価値観が生まれる!
「今の教育カリキュラムは、戦争でたくさんの優秀な方が亡くなり、戦後、学力を底上げするためにできたものです。それはもう役目を終わっていて、これからは、独創性や創造性、スピード感のある人材を育てる教育に転換しなければならないということを、海外を見て肌で感じました」と安藤先生

「シンギュラリティ」で仕事はなくなる
しかし、価値観を変えてより生きやすい世の中に

ー 2045年と言われている「シンギュラリティ」については、いろいろな人の意見がありますが、安藤先生はどのようにお考えですか?

安藤昇先生
当然「シンギュラリティ」は起こると思っていますし、それによってなくなる職もたくさんあると思います。例えば薬剤師や医者の見立て、裁判など、膨大な知識をまとめて処理をする能力はAIには敵わないと思います。気象予報士も、これだけ複雑な気候では、台風の進路予測などはAIでしか処理できないでしょう。

今ある職業のほとんどがなくなると思いますが、人間は多様性と、価値観を上手に変えることで生き残ると思います。産業革命のときに手作業だったものが蒸気に置き換わっても、人間の居場所はなくなりませんでした。戦後の日本はお金を稼げば幸せになるという考えですが、今は幸せのあり方も増えています。AIを利用することで、幸せな、生きやすい世の中になるのではないかと私は思っています。AIはありがたいなと思いますね。

もちろん収入はなくなりますが、お金に価値を求めなければ困ることもありません。「シンギュラリティ」が起こったら、お金に固執しなければいいんです。

昔はお米がとても価値のあるものでした。でもそれが明治維新で変わり、通貨が流通し、今は仮想通貨という新しい価値も出て来ています。そして次はお金ではない価値観が生まれてくると思います。お金は今のようにはまわらないけど、みんな幸せなんじゃないかな(笑)。

書籍「子どもの才能を引き出す最高の学びプログラミング教育」の著書で注目のプログラミングスクール「プロスタキッズ」代表の石嶋洋平さん、監修を務めたICT教育の第一人者で、佐野日本大学中等教育・高等学校ICT教育推進室室長の安藤昇先生に、プログラミングを学ぶ必要性、プログラミングによって養われる論理的思考力、2020年からの小学校のプログラミング教育必須化などについてお話をお伺いしました!シンギュラリティの起こった子どもたちが生きる未来ではお金に変わる新たな価値観が生まれる!
「ZOZOの前澤友作社長も、今日、同じようなことを言ってましたよ」と石嶋さん。世界を平和にする方法は「世の中からお金をなくす」ことだと

安藤昇先生
みんな「シンギュラリティ」を心配していますが、結局は働くところがなくなってお金が稼げなくなるという、実は “お金の心配” です。だったらそこだけ解決すればいい。でもそんな心配をしなくても、お金がなければ、お金じゃないものに価値を見出す社会が生まれます。それは時間だったり、土地とか野菜とか、昔みたいにお米や塩とか。農業や自給自足がブームになるかもしれませんね。

江戸時代の人が今の社会を見たらカルチャーショックを受けますよね。それと同じで、我々からすると「お金がないの?」と思うかもしれませんが、そういう世界になります。そしてそれで幸せなんです。お金がなくても問題のない世界にならざるを得ないです。AIが全部持っていっちゃって、賃金は発生しませんから。

ー そうすると人間は何をするんでしょうか? 研究とか、好きなことをして生きていけますか?

安藤昇先生
人間の進化が問われますよね。AIが普及するとより哲学的になります。「人間の幸せとは?」とか。でもそれが楽しみになってきます。考えることは、昔はエンターテインメントでしたから。

変わった価値観にいかに対応するか、できるか。そこの心の準備さえできていればいいんじゃないですか。個人的には、お金が紙切れになったらおもしろいなって思います。

書籍「子どもの才能を引き出す最高の学びプログラミング教育」の著書で注目のプログラミングスクール「プロスタキッズ」代表の石嶋洋平さん、監修を務めたICT教育の第一人者で、佐野日本大学中等教育・高等学校ICT教育推進室室長の安藤昇先生に、プログラミングを学ぶ必要性、プログラミングによって養われる論理的思考力、2020年からの小学校のプログラミング教育必須化などについてお話をお伺いしました!シンギュラリティの起こった子どもたちが生きる未来ではお金に変わる新たな価値観が生まれる!
「シンギュラリティの心配って、結局はお金の心配」と安藤先生。確かに、そうです。お金がなくてもちゃんと生活できれば、心配することはありません。これも本質を見極める「論理的思考力」でしょうか

プログラミングで新しい産業を生み出し
それを子どもたちの将来の夢に!

ー AIやシンギュラリティについて情報が錯綜しています。親は正しい情報、必要な情報をどのように見極めていけばいいでしょうか。

安藤昇先生
親に限らず、正しい情報なんて誰にもわからないので、自己判断するしかありません。論理的思考力を養うには、自分で判断するしかないんです。

未来を予測することも物理的に不可能なので、船乗りみたいに風を読むとか、そういう力を身につけることが大切です。さっき言ったことと今言っていることは違うけど、判断としては正しいという、瞬間瞬間を見て状況を判断する力ですね。自己判断、自立できる人間を育てるしかありません。

今はプログラミングが流行っていますが、私もこれを予測していたわけではありません。プログラムを書いて楽しんでいるなんて、当時はただの変人ですよ(笑)。でも今はそれが注目されています。

ゲームも「eスポーツ」としてオリンピックの競技になれば、「ゲームばっかりして」と怒られていたものが、「ゲームをしなさい!」と、真逆の理由で怒られることになるかもしれません。

書籍「子どもの才能を引き出す最高の学びプログラミング教育」の著書で注目のプログラミングスクール「プロスタキッズ」代表の石嶋洋平さん、監修を務めたICT教育の第一人者で、佐野日本大学中等教育・高等学校ICT教育推進室室長の安藤昇先生に、プログラミングを学ぶ必要性、プログラミングによって養われる論理的思考力、2020年からの小学校のプログラミング教育必須化などについてお話をお伺いしました!シンギュラリティの起こった子どもたちが生きる未来ではお金に変わる新たな価値観が生まれる!
「ゲームをしなさい!」と言われるのも、子どもによっては辛いかもしれませんね。子どもが熱中できるものを伸ばしてあげて、それが将来にも役立つもの、というのが理想ですね

ー 先生ご自身は、どのような子育て、教育方針だったんですか?

安藤昇先生
基本は好きなことだけやらせました。もともと教員なので学校教育には限界を感じていて、英語とプログラミングができればいいから、それ以外は気にしませんでした。

日本人はコンプレックスがあって、英語が話せるだけで頭がいいと思っちゃう。でも英語だけだと底が浅いのがバレることもあるから、プログラミングがあればカバーできるかなと(笑)。今の日本の社会ではこの2つができれば、たくさんお金を稼げます。

好きなこと、おもしろいことに飛びつきなさい。学歴は関係ないし、将来的には貨幣価値もなくなる。好きに生きればいいんじゃないかなと思っています。

ー 今後の夢、目標は?

安藤昇先生
昔は遊びだって言われていたゲームですが、「マインクラフト」などではワールドをつくるだけでお金を稼げるようになってきています。ということは、小学生でもお金を稼げるんです。今までは、ゲームをしても食べていけないと言われていたのに、それで食べていけるようになった。このように、プログラミングで今までにない価値、新しい産業のようなものを生み出して、それを子どもたちの将来の夢にしたいなと思っています。それが目標ですね。

インタビュー後記

教育が大きく変わるとあって心配している方は多いことでしょう。しかし石嶋さんと安藤先生のお話を聞いていると、小さい頃の子どもたちに必要なものは、いつの時代もあまり変わらないように感じました。遊びの中から人間関係や楽しいこと、失敗を学び、好きなことに熱中することです。「そろばん」から「タブレット」へと使うものの形は変わっていますが、必要なものは、それを使いこなす以前のもののようです。

私たちが小さい頃にあった仕事も、なくなっているものがたくさんあります。お金の価値は変わらずですが、昔の方が、その依存度は低かったようにも思います。ご近所さんとの協力があったり、お金がなくても楽しめたような気がするのは、単なるノスタルジーでしょうか。しかし今の20代くらいの若者を見ていると、私たち子育て世代以上とは明らかに違った価値観を持ってきているのを感じます。

お金に変わる価値が何になるかは、とても楽しみです。“共感” や “承認” は新しい価値になってきていますし、それにともなう “信用” や “信頼” も価値になりつつあります。お金がなくても、多くの人に必要とされる人になれば、生きていくことはできそうです。それにプラスして、“挑戦” や “優しさ” のようなものも価値になると、世の中はもっと楽しく、よくなりそうです。

お金ではなく、世の中を良くすることに価値を見出し、人やお金が集まってきているところもすでにあります。世の中は少しずつ変わっています。子どもたちが興味あること、好きなこと、能力を発揮できることで暮らしていける社会になることをめざして子育てをし、子どもとともに新しい社会を楽しみたいですね。

子どもの才能を引き出す最高の学び プログラミング教育
石嶋洋平(著)/安藤 昇(監修)
あさ出版 1,500円+税

子どもたちの未来は先行き不透明です。急速な情報化や技術革新は、私たちの生活を質的にも変化させつつあります。将来の変化を予測することが困難な時代だからこそ、必要なのは「論理的思考力」。論理的に考えることができれば、時代がどのように変わっても物事の本質を読み解くことができるからです。そして、プログラミングによって身につく力のひとつ、がこの「論理的思考力」です。

目標設計力、問題解決力、数学思考、協働する力、創造性ーAI時代に不可欠な「自ら創る力」の育て方を紹介。

書籍「子どもの才能を引き出す最高の学びプログラミング教育」の著書で注目のプログラミングスクール「プロスタキッズ」代表の石嶋洋平さん、監修を務めたICT教育の第一人者で、佐野日本大学中等教育・高等学校ICT教育推進室室長の安藤昇先生に、プログラミングを学ぶ必要性、プログラミングによって養われる論理的思考力、2020年からの小学校のプログラミング教育必須化などについてお話をお伺いしました!シンギュラリティの起こった子どもたちが生きる未来ではお金に変わる新たな価値観が生まれる!石嶋洋平(いしじま ようへい)
株式会社ミスターフュージョン代表取締役。プロスタキッズ代表。東京花火大祭制作委員会委員長。1981年生まれ。株式会社ミスターフュージョンを設立。有名アーティスト、有名企業のWEBプロデュースを手がける。また、WEBマーケティングコンサルタントとして企業のアクセス解析を行ない、幅広い業種業界でのWEBサイトの改善実績を持つ。「Google Excellent Performer Award最優秀賞」「Yahoo! JAPANプロモーション広告新規代理店賞第1位」「Googleプレミアムパートナーアワードモバイル部門日本第1位・顧客成長部門第3位」と数々の実績を持ち、WEBマーケティング関連のセミナーを年間70回以上開催。2017年4月に「すべてのヒトに創るチカラを」をビジョンとして、小学生向けプログラミング教室「プロスタキッズ」を設立。総務省の主催による「若年層に対するプログラミング教育の普及推進」事業認定としてプログラミング教育も行なっている。2018年8月に「東京花火大祭」で子どもたちがプログラミングした花火が世界で初めて打ち上げられる仕掛け人でもある。
■ 株式会社ミスターフュージョン
■ 小学生向けプログラミング教室「プロスタキッズ」

書籍「子どもの才能を引き出す最高の学びプログラミング教育」の著書で注目のプログラミングスクール「プロスタキッズ」代表の石嶋洋平さん、監修を務めたICT教育の第一人者で、佐野日本大学中等教育・高等学校ICT教育推進室室長の安藤昇先生に、プログラミングを学ぶ必要性、プログラミングによって養われる論理的思考力、2020年からの小学校のプログラミング教育必須化などについてお話をお伺いしました!シンギュラリティの起こった子どもたちが生きる未来ではお金に変わる新たな価値観が生まれる!安藤 昇(あんどう のぼる)
佐野日本大学中等教育・高等学校ICT教育推進室室長。1968年栃木県生まれ。日本大学理工学部物理学科を卒業後、理科教諭として佐野日大高校に勤務。現在は数学・情報を教える傍ら剣道部、放送部を全国大会に導く。コンピュータプログラミングとクリエイティブ能力に優れ、全国大会の試合運営システムの開発やタブレットを題材とした動画CM「デジタルキャンパス物語」をネットに配信し人気を博している。また、佐野日大に導入した1,500台のタブレットの運用に耐えうるWi-Fiインフラの設計およびオープンソースによる生徒用グループウェアの構築も手掛けている。2017年にはデジタル放映部&ドローン部を設立。中高生とは思えぬドローンを使用した高度な空撮技術は多方面から注目されている。ICTをさりげなく、しかし最大限に活用し、学校教育を改革し続けるイノベーターである。