
悪役令嬢じゃなかった?!
時代を超えて愛される
美を追求した王妃の素顔
歴史上もっともファッショナブルな王妃 “マリー・アントワネット”。贅沢の限りを尽くした浪費家のイメージが有名ですが、そのファッションやデザインは今なお私たちに影響を与え続けています。
そして最近の研究では、その “浪費家” というイメージも誤ったものであると考えられています。「パンがないならケーキを食べればいいじゃない」という彼女の代名詞のような言葉も、実際に彼女が発したものではなく、つくりあげられたイメージである可能性が高いと考えられています。
“マリー・アントワネット” とはどんな人物で、なぜ誤解されているのか、そしてなぜ今なおそのファッションやデザインが私たちに影響を与え続けているのか、その秘密を約200点の作品で紐解く展覧会『マリー・アントワネット・スタイル(Marie Antoinette Style)』が、2026年8月1日(土)から横浜美術館で開催中です。

14歳でひとり異国に嫁いだ少女が
フェイクニュースと戦うために
見つけた武器は “自分らしくあること”
展覧会「マリー・アントワネット・スタイル」は、世界的に有名なロンドンのヴィクトリア&アルバート博物館(V&A)が手がけた世界巡回展で、日本では横浜美術館だけで開催されます。
記者会見では横浜美術館の蔵屋美香館長が「彼女は単なる浪費家ではありません。14歳で言葉もわからない国にたったひとりで嫁ぎ、厳しい宮廷の慣習の中でどう振る舞うべきかを悩みながら、自分らしくあることを追求した改革精神あふれる女性でした」と説明。そして「彼女は長年 “誤解” されてきた」としました。
「彼女の贅沢な衣装や宝飾品は、実はフランスの高度な職人技術を保護・育成し、今日の『ファッション王国フランス』の礎を築くという側面がありました。しかし、その斬新なスタイルが民衆には想像を絶する贅沢と映り、反体制派の標的となってしまったのです」。




さらに「彼女は言葉で言い返す代わりに、『自らのスタイル』を表現手段にしていました。目の表情、身を飾るドレス、愛した宮殿の装飾などを通して自分を示したのです。また、常に監視され圧力を受ける人工的な宮廷生活の中で、自由に発言できる状況になかったことも背景にあります」。
「しかし言葉で反論しなかったために、彼女は数々の『フェイクニュース』の犠牲となり、誤解にもとづいた国民の怒りを買って断頭台へと送られることになりました。マリー・アントワネットの言葉して有名な「パンがなければケーキを食べればいいじゃない」も、実際には彼女が発した言葉ではなく、フェイクニュースや誤解によってつくりあげられたイメージである可能性がとても高いと考えられています」。
そして「現代のデザイナーたちが彼女に惹かれるのは、その華やかさだけでなく、『自分の好きなものを貫き通す力』に共感しているから」と蔵屋館長は締めくくりました。

実は大の日本好き!
アニマルプリントも流行らせた
子育てに奮闘した等身大の女性
本展を企画したV&A シニアキュレーター サラ・グラント氏は親御さんにぜひ知ってほしいエピソードとして、以下の3つを紹介しました。
ひとりの女性としての物語
マリー・アントワネットは、私たちと同じように愛や喜び、そして裏切りや悲しみを体験したひとりの人間でした。厳しい時代には心折れた夫に代わり、唯一王家を支える勇気あるリーダーとして立ち振る舞う一面もありました。
日本文化を愛した王妃
意外なことに、彼女は母親から受け継いだ日本の「蒔絵(まきえ)」を非常に大切にしていました。実質の空間に漆器を並べ、図書室には日本の歴史の本も備えるほど、遠い日本に深い関心を寄せていたのです。

現代に続くトレンド
パステルカラーやアニマルプリント、田園風景を描いた「トワル・ド・ジュイ」など、今のファッションにも通じる多くのトレンドが彼女からはじまっています。
教科書の中の出来事が目の前に
ギロチンの刃が教えてくれる
歴史のリアリティ
『キッズイベント』もサラ・グラントさんに、「14歳で嫁いだアントワネットと同年代のティーンエージャーや、親子で見に来る子どもたちに、この展覧会を通して伝えたいこと」をお伺いしました。
「どんなお子さんであっても、何かを感じとってもらえるはずです。私の7歳の娘はこの展覧会に4回も来ました。最初は『キラキラして綺麗!』という興味から入り、次第に『どんなお姉さんだったのかな?』と物語に惹かれていきました。それだけ、子どもの心を動かす魅力がこの展覧会にはあります」
「また、歴史を学んでいる子どもたちには実物を見る絶好のチャンスです。本展には、フランス革命で実際に使われた可能性が極めて高い『ギロチンの刃』を展示しています。教科書の中の出来事ではなく、『本当に起きたことなんだ』と直接体験できるのは、非常に貴重な経験になるでしょう」
「夏休みの宿題のために学ぶのも良いですが、まずは『美しくて、楽しくて、刺激的な場所』として楽しんでください。歴史の中で誤解された彼女が、いかに美しいものに囲まれ、自分らしく生きようとしたかを感じとってほしい。親子での記憶に残る大切な体験として、ぜひ遊びに来てください」
『マリー・アントワネット・スタイル(Marie Antoinette Style)』は、2026年11月23日(月・祝)まで横浜美術館で開催!


横浜美術館 主任学芸員 長谷川珠緒氏の注目ポイント!
日本会場ならではの貴重な展示について、横浜美術館 主任学芸員 長谷川珠緒氏が解説!
世界初公開のジュエリー
2018年に初めて公に知られた、王妃旧蔵の「真珠とダイヤモンドの3連ネックレス」が一般に初めて公開されます。

五感で楽しむ演出
ヴェルサイユの庭園をイメージした映像や音楽、そして王妃が愛した香りを体験できるコーナーもあり、親子で立体的に楽しめます。

現代のドレス
クリスチャン・ディオールやヴィヴィアン・ウエストウッド、シャネル、ショーメなど、現代の巨匠たちが彼女からインスパイアされた最新ドレスも見逃せません。






