幼稚園の先生、親御さんだからこそ最高の英語の先生に!

幼児英語プログラム「Angie & Tony」監修・小田眞幸先生インタビュー!

幼稚園の先生、親御さんだからこそ最高の英語の先生に!幼児英語プログラム「Angie & Tony」監修・小田眞幸先生インタビュー!
幼児英語プログラム「Angie & Tony」の監修を務めた小田眞幸先生。「Angie & Tony」の特長や子どもたちへの英語教育について、いろいろなたとえ話を織り交ぜながら、わかりやすく、楽しく話してくださいました
子どもの英語教育には、おそらく誰もが頭を悩ませていることだと思います。子どもには英語で苦労させたくない、これからのグローバル社会では英語は必須など、いろいろな想いがあるでしょう。確かに英語が話せたらなと思うシーンは、今までの人生の中で何度もありましたし、これから先もまだ何度もあるはずです。ブリタニカ・ジャパンの幼児英語プログラム「アンジー&トニー」は、幼稚園の先生が子どもたちに英語を教えるための教材としてスタートし、2017年1月から保護者と一緒に学ぶ新サービス「アンジー&トニー おやこdeえいご」も発売されることになりました。そう、英語を話せない先生や親御さんが、子どもに英語を教えるのです。でも、それがいいんです。その理由を、監修を務めた小田眞幸先生にお伺いしました。このインタビューで、“ネイティブ信仰”を根底から覆しますよ。(インタビュー:2016年10月7日(金) / TEXT:キッズイベント 高木秀明 PHOTO:大久保景)

幼稚園での子どもたちの会話を観察
子どもたちの将来につながる英語教材を開発

ー ブリタニカ・ジャパンの幼児英語プログラム「Angie & Tony」(アンジー アンド トニー)に関わることになったきっかけは?

小学生が英語の勉強をすること自体はよいことだと思います。しかし小学校の授業や活動として英語を教えることができる教員を養成せずに、むやみやたらに子どもたちに英語をやらせても、そのやり方では長続きさせること、効果を出すことは難しいと思っています。言語を学ぶには早い方がいいと思いますが、「言語を勉強する」ということと、「学校で教科にする」ということは別問題です。必須教科にするには、きちんとトレーニングされた教員が必要ですね。

そんな私のところに、他国の英語教育の学者の方からブリタニカ・ジャパンが「Angie & Tony」を幼児英語プログラムとして導入しようと考えていると声をかけられました。私は小学校の英語教育導入に関しては反対派と思われているけれど、幼児英語教育の必要性は感じていますし、教育法も考えている。そのやり方を良いと思ってくれる企業があるなら協力したいと思いました。そして現実に即した、子どもたちの将来につながるものをつくろうと、このプロジェクトがスタートしたんです。

幼稚園の先生、親御さんだからこそ最高の英語の先生に!幼児英語プログラム「Angie & Tony」監修・小田眞幸先生インタビュー!
「言語を学ぶには早い方がいい」と小田先生。しかしそのやり方が重要と、「Angie & Tony」では子どもたちの将来につながる教材を目指した

ー 小田先生は監修ということですが、具体的にはどんなことをされたんですか?

いろいろなタイプの幼稚園を何回も見に行って、たとえば手を洗っているときに園児たちはどんな会話をしているのかなど、園児たちの1日の様子を観察し、園の生活ですぐに使えるフレーズを取り入れました。年中行事のスケジュールも4月から翌年3月までの1年間に変更し、そこに日本の幼稚園で行われている行事を入れていきました。今、書店に並んでいる教材のなかには英米の行事などを説明なしに扱い、日本にあわせたものではなく、日本語で聞かれてもわからないようなことも載せていて、それがわからないと「英語がわからない」と結論づけてしまうことがあります。それは絶対に避けようと、そこには特にこだわって、日本の保育園、幼稚園、そして家庭で、子どもたちのまわりで起こりうる状況に合わせた内容を積み重ね、使う単語もかなり変更しました。

幼稚園の先生、親御さんだからこそ最高の英語の先生に!幼児英語プログラム「Angie & Tony」監修・小田眞幸先生インタビュー!
「Angie & Tony」はいくつもの幼稚園を何度も見学し、日本の園での生活に即した英語に徹底的にこだわったそう

先入観で英語が聞こえなくなる!? そしてそれが人種差別の根源に

ー 子どもの英語教育は、どのような教育が良いのでしょうか? そして「Angie & Tony」はどのように使うと効果的ですか?

冒頭で「教員をトレーニングしていないのに小学校で英語を勉強するなんてもってのほか」とお話しましたが、これは幼稚園でも同じです。幼稚園でも英語教育に力を入れているところは多いですが、現状では2つのタイプにわかれます。

ひとつは“ネイティブスピーカー”という人を連れてきて、その人が教えます。欧米系の外見の方が来るとなんとなく英語教育をしているような気になってしまうんです。しかしその方が英語教育ができる資格を備えているかは、ほとんどの人が気にしていません。

これは大人にもあてはまりますが、生徒たちはその人の話す英語がわからないのは自分のせいだと思ってしまうんです。その人がネイティブスピーカーじゃなくても、です。ところがアジア系の方が英語を教えると、実は国籍はイギリスだったりするのですが、必ず生徒から「アクセントが悪くて理解できない」「わかりにくい」という苦情が出てくる。

私自身、以前ある実験をしてみました。英語の教員を目指す大学生を2つのグループに分け、アウンサン・スーチーさんとマーガレット・サッチャーさんが話している録音を聞かせるのですが、ひとつのグループには写真を見せながら、もうひとつのグループには音声のみを聞かせます。で、あなたはどちらの英語がわかりやすかったか、どちらの英語が理想的な英語かと質問すると、写真を見せないグループでは8割くらいの学生がスーチーさんと答えますが、写真を見たグループではそれが逆転します。これは、話す人の見かけで英語を聞いているということです。

言葉っていうのは、特に子どものころから勉強するのは視野を広げ、最終的にはコミュニケーションギャップをなくし、たくさんの人たちと意思疎通をすることで平和な世の中をつくるためなのに、下手をすれば英語教育が人種差別の根源になってしまいます。

幼稚園の先生、親御さんだからこそ最高の英語の先生に!幼児英語プログラム「Angie & Tony」監修・小田眞幸先生インタビュー!
先入観で英語が聞こえなくなってしまうし、それが人種差別にもつながってしまう。それでは本末転倒、絶対に避けたいですね

英語に特化した先生しか使えないような教材ってけっこう多いんです。「ここはネイティブスピーカーが発音してみましょう」とか。でもそれでは教材の意味がないんです。「Angie & Tony」は、普段の子どもたちをよく知っている幼稚園の先生が自分たちでカスタマイズしながら使える教材にしたかった。それはもちろん親御さんでも同じです。子どもが家に帰ってきたときや、ご飯を食べる前に “Wash my hands.” と一緒に言ってみるとか、そういうことをしてほしい。そうすると、だんだんと今日は何があったとか、幼稚園での生活に即した教材なので、単語だけでも答えられたりしますよね。そうやって一緒に学んでほしいんですよね。

アジア圏で幼児英語教育に先んじている国の幼稚園もいくつか見学しましたよ。あるところは完全な英才教育タイプで、そこには英語のネイティブスピーカーがいたんですが、早口すぎて聞き取れませんでした。言語の教師がハッキリ話せないのはおかしい。だから言語を教えるトレーニングは受けてないなと気が付きました。で、その先生が「You don’t understand?」なんて苛立っているんですよ。担任の先生も萎縮しちゃってる。授業が終わると子どもたちは先生のところに行って抱きついたりして、怖かったんですよね。そんな幼稚園がひとつ。

もうひとつは団地みたいなところにあって、英語の先生もいるんですが、担任の先生を中心に英語は単語ぐらいしか使っていませんが、一緒に歌ったりして子どもたちはキャーキャー楽しんでる。そして子どもたちは見学している私たちを見つけると「Hello !」って話かけてくるんですよ。子どもたちの反応が英才教育の幼稚園とは違いますよね。どこの国の人でも「Hello !」って言ったら通じるだろうと思っているんですよね。英才教育のところはそんなことなかった。それを見て、やっぱり先生が大切で、そして日常がベースなんだと。先生が普段やっていることがちょっと英語で準備されていて、英語と日本語で積み重ねていけば、親御さんも使えることができ、結果、コミュニケーションをとるための英語が身に付くと思ったんです。

多くの教材は園で授業をするための教材ですが、「Angie & Tony」は園の生活の中で使える英語を教えるものになっています。幼児の生活は園が中心ですが、園でやることは家でもやるので、子どもたちは園でも家でも同じことができます。子どもの日常の中で、子どもが普段使う英語を意識しているんです。

幼稚園の先生、親御さんだからこそ最高の英語の先生に!幼児英語プログラム「Angie & Tony」監修・小田眞幸先生インタビュー!
楽しみながら、実際に使える英語を身に付けていくことが大切。それには日常をベースに、先生や親御さんと一緒に学ぶのが一番です

ネイティブ信仰から脱却! 英語が話せなくても
幼稚園の先生、親御さんだからこそ最高の英語の先生に!

ー 先生や親御さんが英語を教えるとなると、こんな発音で教えていいのかと悩むと思いますが‥‥。

では、きれいな英語の発音って何ですか? ということですよ。私は英語を使っている人にわかる発音であればいいと思っています。発音を疎かにしていい、ということではありませんよ。幼稚園のお子さんくらいの場合は、そのお子さんのことをよくわかっている方が英語も教える方がいいんです。質問に答えられないお子さんが、英語がわからないから答えられないのか、恥ずかしいのか、それとも調子が悪いのか、その判断ができるんです。もちろん英語が堪能な方が幼稚園の先生なのが一番ですが、そんなにたくさんはいらっしゃらないですよね。

大学の教員採用を見ていても、モノリンガルという英語しか話せない人が英語の教師をやっていることが非常に多いんです。でもそういう先生だと、日本語を通して子どもたちが理解している能力をまったく利用できません。特に子どもはまだ世界が狭いので、子どもたちが日本語で理解していることを利用しない手はないんですよ。モノリンガルの先生は「日本語で聞かれてもわからない」ということをわからないんです。だから幼稚園の先生や親御さんは、子どもたちのことを良くわかっている、そして日本語ができるということを誇りにしながら、子どもたちに英語を教えてほしいですね。

それに考えてみていただきたいのは、私たちは日本語を話していますが、日本語をちゃんと教えられますか? 英語のすべてをわかっていないと英語を教えられないわけじゃないし、英語のネイティブスピーカーじゃなくても、流暢に英語で会話ができなくたって、子どもに英語を教えていいんです。「Angie & Tony」は幼児向けですから、子どもと一緒に楽しみながら、親御さんも英語を思い出してくれればいい。別に教えるためにあらかじめ勉強する必要もないんです。

幼稚園の先生、親御さんだからこそ最高の英語の先生に!幼児英語プログラム「Angie & Tony」監修・小田眞幸先生インタビュー!
英語でいろいろな外国人の方とコミュニケーションがとれる、そんな大人になるために、「Angie & Tony」が子どもたちの英語の基礎となる、そんな教材を目指して開発しました

ー 先ほどの先入観と同じですね。

そうなんですよ。日本語だって同じで、私は大学生に「標準の日本語って何ですか?」と聞くことがあります。「東京の山の手の日本語」という答えが返ってくることがあるのですが、東京にも江戸なまりが存在します。つまり日本語だって、自分のメッセージが伝わるものならいいんです。英語もそうですよね。インドはなまりがあるとか、シンガポールもなまっているとか、でも自分の日本語だってなまっているかもしれないけど、伝わっていますよね。大事なのはそういうことです。ネイティブ、ネイティブって、語学系の学校やメディアが植え付けた先入観でもありますね。

そもそもアメリカやイギリス、オーストラリアのように英語を母語とする人は、英語を話す人のうちのたった20%です。それ以外の80%は、インドやシンガポールのように母語ではありませんが第二言語として英語を使う人、日本のように外国語として英語を学習している人たちです。子どもたちがこれから出会うであろう英語の80%はノンネイティブスピーカーなんです。

ー 2020年には小学校で英語が教科になります。幼稚園のときに「Angie & Tony」をやっていると役に立ちますか?

子どものうちはどんな英語教材を使っても同じように見えるかもしれませんが、「Angie & Tony」は、小学校、中学校など、子どもたちが大きくなったときまで見据えているかなと思っています。これは私の願望かもしれませんが、子どもたちが成人になっても「Angie & Tony」が英語の基礎になっている、根本は意思疎通ができること、そんな教材を目指してつくっています。だからこそ、親御さんが子どもと一緒に「Angie & Tony」をやってくれるのは重要だと思っています。

幼稚園の先生、親御さんだからこそ最高の英語の先生に!幼児英語プログラム「Angie & Tony」監修・小田眞幸先生インタビュー!
キャラクターのなかにワニを入れるかどうかはとても悩みました。でもやっぱり気になって入れました。キャラクターはもっとたくさんの種類があって、幼稚園に持って行って子どもたちの人気投票で選んでいるんですよ

子どもの頃から多種多様な英語の発音を聞かせる
先生や親御さんの意識改革が必要

ー 先生ご自身は小さい頃、どのような英語教育を受けてこられたんですか?

私は普通の公立学校を出ているんですが、家が米軍の厚木基地のすぐ近くだったのでアメリカ人がたくさんいて、おいしそうなチョコレートを持ってて、それをもらうために、ちょっとヤジみたいな言葉を投げかけたり、まぁ、けなしあいみたいな、国際交渉ですかね、そんなことをしながら会話力を身に付けました(笑)。昭和40年代ですから、そういう時代でした。

ー 今ではあまり真似のできない勉強方法ですね(笑)

あとは父親が画家で、特に中近東の人、非英語圏の外国人が近くにいる環境でした。だから外国人や外国には興味はありましたが、語学にはそんなに興味はなかったんですよね。でも外国人と話をしたり楽しむには語学を学ばなければならない。それがたまたま英語だったのかな。英語は学校の授業でもやってくれますし。でも学校の授業はあんまりちゃんとやらなくて、短波ラジオで雑音混じりのBBCを聞いたり、BBCが聞こえてくると嬉しいんですよね。あとはアマチュア無線で海外の人と話していました。

おもしろいのは、アマチュア無線って技術的に南北の方が通じやすくて、日本からだとオーストラリアとインドネシアがつながりやすいんです。だから私は今でもオーストラリアとインドネシアの地名には強いですよ。「メルボルン」ってありますよね。でもオーストラリアの人たちって「モルボン」のように発音するんです。だから私は「メルボルン」と「モルボン」が同じ街だというのに20年ほど気が付きませんでした。「ブリスベン」は「ブリスバイン」とか。

また当時は英語で話していたからインドネシア語があるとは知らなくて、でも無線の最後は「センキュー、テレマカシー」と言うんです。あまり気にしていませんでしたが、10年くらいしてから「アパカバール(元気?)」と「テレマカシー(ありがとう)」はインドネシア語だったんだと気が付くわけです。そういうのはたくさんありますし、そういうのがおもしろいですよね。そんなふうに勉強していました。

私は飛行機の写真を撮るのが趣味で、羽田や成田なんかに行って撮影するんですが、以前は飛行機にも時刻表があって、それを集めるのが好きでした。飛行機の時刻表を見ていると地名を覚えるんですよ。Anchorage(アンカレッジ)とかPhnom Penh(プノンペン)とか。そういうのって、その時は役に立たないけど、20年後、30年後に役に立つんです。今でも地名のスペルには自信がありますよ。

人間の記憶って、コンピュータで言えばメモリの部分とハードディスクとモニタに相当する部分があって、ハードディスクに記憶したけれどファイルがどこにあるかわからないと思っていたものが、何かのきっかけで突然出てくる、新たなことに気が付く、それでいいと思うんですよね。「モルボン」って「メルボルン」なの! みたいな。今の児童英語教育の多くはモニタに鮮やかに映すことばかり一生懸命で、残念ながらハードディスクに記憶される前に消えてしまうんです。将来、子どもたちがハードディスクから記憶が取り出しやすいように入れておいてあげたいですね。

幼稚園の先生、親御さんだからこそ最高の英語の先生に!幼児英語プログラム「Angie & Tony」監修・小田眞幸先生インタビュー!
子どもたちの頭の中に、大きくなったときに“あっ、そういうことだったんだ”という気づきがあるようなことをたくさん入れてあげたいですね

ー それにはやっぱり趣味とか、好きなことにつなげてあげるといいんですね。

好きなことについて学ぶとよくわかる。だから子どものことを一番よく知っている親が興味のあることにつなげてあげるといい。だからこそ、英語を教えるのは身近な先生がいいんです。子どものことを良く知っていますから。

ー 子どものうちは耳が良いから、ネイティブの発音を聞かせなさい、ということもよく聞きますが‥‥。

私は逆に、耳が良いからこそ多様な発音を聞かせた方が良いと思います。耳が良いのは聴覚が優れているという意味ではなくて、まっさらな状態ということです。だからネイティブしか聞かせないと、それしか聞き取れなくなってしまいます。柔軟な子どものうちに英語の中でもいろいろなバラエティ、発音もそうですし、みなさん地理的なものしか考えないことが多いですが、おばあちゃんが話す英語と若い人が話す英語は発音が異なります。いろいろな声の質を聞かせることで許容範囲が広くなるんです。80%が英語のネイティブスピーカーではないんです。ネイティブだけが話すCDを繰り返し聞いていると、それ以外が聞き取れなくなってしまいます。

ー 今まで思っていたことと真逆のお話、ネイティブじゃない方がいいとか、小さなうちからネイティブ以外の発音を聞かせた方がいいとか、子どもはすぐに馴染むと思いますが、親御さんや先生の意識を変えるのが大変そうですね。

そこが一番難しいですね。

幼稚園の先生、親御さんだからこそ最高の英語の先生に!幼児英語プログラム「Angie & Tony」監修・小田眞幸先生インタビュー!
「ネイティブスピーカー」というと英語だと思っている“ネイティブスピーカー病”とでも言うものもあります。差別ってこういうところから生まれることもあるので、子どもたちにはこういう先入観を植え付けたくないですね

大人の方へ英語習得のアドバイス

ー 私自身、今からでも英語を、と思っていて、大人が今から英語を勉強するのに一番効果的な方法はありますか?

まずは自分の趣味や、自分が使う範囲の英語ですよね。私なんかは旅行をすると、怒られるかもしれませんが、いかに航空会社に文句言ってアップグレードを引き出すかです(笑)。私はコンフリクト・レゾリューション(Conflict Resolution:対立解決)という交渉の授業も受け持っていて、苦情処理のロールプレイをやるんですけど、おもしろいですし、勉強になりますよ。

あとは理解ができればいいのか、自分から発信したいのかにもよりますね。理解したいだけなら、自分の好きな分野の本をたくさん読めばいい。大学ではインターネットテレビを流していますが、BBCやCNNなど、どこの放送局を入れるかで揉めましたが、最終的に「NHKワールド」に決定しました。NHKワールドは、発音がどうとか言う人もいますが、ここは日本のニュースを放送しているので、学生は他のニュース番組で得た知識からなんとなく内容の想像ができたり、この日本語はこの英語に相当するということがわかるんですよ。「熱帯低気圧」って「トロピカルストーム」って言うんですね、なんて学生が言ってくる。そこで「今日、発見した単語は?」とやらせるんです。そうすると単語が増えていきますね。

発信したい場合は、まずは発する状況をつくることです。状況がないから発せないんです。私は飛行機が好きだから、米国に留学していたときは航空会社のトールフリーナンバー(電話をかけた側は通話料のかからない「フリーダイヤル」)に電話をかけて、絶対にあり得ない日程の飛行機の予約の交渉をするということで訓練していました。相手には申し訳なかったですが、そればっかりやっていました。

「聞く」「読む」「書く」までは自分でできますが、やっぱり話すのは必要がないとできないんですよ。通販の会社に商品についての質問をするとか。学生にやらせるのは、アメリカの州の観光局に連絡をして資料や何かをもらうことをさせるんです。それで成績をつけると言ったら必死で電話や手紙を出して、地図を送ってもらうことが多かったですが、アラスカから熊のぬいぐるみをもらった学生がいて、「A」をつけましたよ。そうやって、多少強引でも状況をつくるといいですよね。

幼稚園の先生、親御さんだからこそ最高の英語の先生に!幼児英語プログラム「Angie & Tony」監修・小田眞幸先生インタビュー!
「Angie & Tony」がコミュニケーション能力の基礎になって、子どもたちが自信を持って、自ら「これからの世界を担っていくんだ」と思ってもらえるようになればと思っています

ー 最後に、先生がこの「Angie & Tony」に込めた想いを教えてください。

いっぱいあるんですけど、英語を勉強することによって、日本語力も伸ばすことができると思うんですよね。「Angie & Tony」では、そこまで考えたつもりです。英語が切り口になっていますが、子どもの言語能力開発教材、言語の土台づくりの教材だと思っています。

そして言語を勉強するということは、友好的に相手を理解して平和をもたらすということです。だから究極的には、これが子どもたちのコミュニケーション能力の基礎になり、コミュニケーションをとることで、自分たちがこれからの世界を担っていくんだ、そういう想いの基礎になればと思っています。

インタビュー後記

私自身、幼い頃から英語を勉強していますが、外国人の方と英語で意思の疎通が自由にできるというところまでは習得できていません。子どもはなるべく苦労しないよう、小さいときに英語に触れさせていたこともありますが、これで本当に英語を習得できているのかなと、実感がほとんどなかったこともあり、いつの間にか英語から遠ざかってしまいました。今になって思うと、英語については、ちょっと申し訳なかったなと、後悔しています。

今回の小田先生のお話、ネイティブじゃなくてもいい、そして発音なんて気にせず、それこそ親が英語を、それも話す英語を教えてもいい、というのは、とても衝撃的で、多くの方に新しい気づきと勇気を与えてくれたのではないでしょうか。正しい英語を話さないと恥ずかしい、きれいな発音じゃないとかっこ悪いと思いがちですが、大切なのは想いが伝わることです。日本語だって、果たして正しいのか、きれいなのかは、考えてみるとかなり怪しいですよね。特に大人の場合は、そういう心の壁を取っ払うことも重要だと感じました。

子どもたちが「Angie & Tony」で楽しみながら英語を身につけ、将来、海外の方と自由にコミュニケーションができるようになることを願って止みません。日本人の可能性が、一段階あがるように思います。

「キッズイベント」でも海外の俳優さんや映画監督の方にインタビューをさせていただくことがあります。2020年の東京オリンピックに向けても、もう少し英語でコミュニケーションがとれるよう、私も子どもたちに負けないよう勉強しようと、思いを新たにしました。

幼稚園の先生、親御さんだからこそ最高の英語の先生に!幼児英語プログラム「Angie & Tony」監修・小田眞幸先生インタビュー!小田眞幸(おだ まさき)

玉川大学文学部卒業後に渡米、セントマイケルズ大学修士課程(MA in TESL/TEFL)、ジョージタウン大学博士課程(Ph.D. in Applied Linguistics)を修了後、同大学中国・日本語学科講師を経て、現在、玉川大学文学部教授、ELFセンター(CELF)長。専門は言語政策・言語計画、マスメディア論、批判的ディスコース研究。JACET学術交流担当理事、AsiaTEFL副会長、AILA言語政策部会アドバイザー。