2025年9月28日(日)まで日本科学未来館で開催! 体験レポート!

特別展「深宇宙展~人類はどこへ向かうのか」To the Moon and Beyond で、地球から深宇宙へと飛び立とう!

特別展「深宇宙展~人類はどこへ向かうのか To the Moon and Beyond」のプレス内覧会にはテレビアニメ「宇宙なんちゃら こてつくん」のこてつくんが登場! 後ろに見えるのは「アルテミス計画」で実際に使用される有人月面探査車「有人与圧ローバー」の “実物大” 模型。なんと世界初公開!

日本最大級の宇宙展!
人類はかつてない宇宙探査の時代に!

宇宙探査の最前線や最新技術の数々が一堂に集結する特別展「深宇宙展~人類はどこへ向かうのか To the Moon and Beyond」が、2025年7月12日(土)から日本科学未来館で開催! 前日に行われたプレス内覧会に行って来ました!

日本人宇宙飛行士2名が参加することになっている、1972年の「アポロ計画」以来となる有人月面着陸をめざす「アルテミス計画」が2027年に予定され、日本のベンチャー企業「ispace」が日本の民間として初の月面着陸に挑戦していたり(ミッション2は残念ながら2025年6月6日に失敗)、この日本科学未来館でも2023年4月には「NEO 月でくらす展 ~宇宙開発は、月面移住の新時代へ!~」という特別展を開催するなど、子どもや一般の方々にとっても宇宙がとても身近なものになっているとともに、人類は今、かつてない宇宙探査の時代を迎えています!

【イベント紹介】特別展「深宇宙展~人類はどこへ向かうのか」To the Moon and Beyond 2025年7月12日(土)~9月28日(日)日本科学未来館で開催!

本展監修者であり宇宙開発エバンジェリストの戸梶歩先生は「ロケットや人工衛星、探査機、望遠鏡など、本当にいろいろな種類のものを展示していて、そのどれもがとても個性的です。なので、ぜひみなさんには、自分だけの推し衛星、推しロケットを見つけていただければと思います。JAXAやロケット全体などの箱推し、特定の人工衛星や探査機、私はMMXに関わっているのでちょっとだけエコひいきしてMMXを単推ししていただいても全然OKです。自分ごととして感じてもらえるような興味が持てるものをぜひ見つけていただければと思います」
「200万km以遠が深宇宙と説明しましたが、その先には何億光年とつながっていて、広い宇宙の中には謎がたくさん残っています。そしてその謎に挑むために、人類はいろいろな望遠鏡や人工衛星などを開発してきました。本展でいろいろな望遠鏡の模型や、それで撮影された写真などをご覧いただき、その後ろにいる人々のこともぜひ想像していただけるといいかなと思います」と、本展天文分野監修者であり自然科学研究機構国立天文台 天文情報センター副センター長の平松正顕先生

実物、実物大、大迫力がキーワード!
世界初公開! 有人与圧ローバー実物大模型も!

特別展「深宇宙展」は、JAXA、国立天文台、東京大学をはじめとする日本の主要な宇宙研究開発機関に加え、宇宙開発に携わる多くの企業・団体の協力により実現した、人類の新たな宇宙への挑戦を体感する大規模宇宙展となり、「アルテミス計画」で実際に使用される有人月面探査車「有人与圧ローバー」の “実物大” 模型が “世界初” 公開となるほか、日本の新たな大型基幹ロケット「H3ロケット」のフェアリング “実物大” 模型、火星衛星探査計画「MMX」の紹介など、宇宙探査・開発の最前線や最新技術の数々が一堂に集結しています。

本展の目玉展示と言っても過言ではない、「アルテミス計画」で実際に使用される有人月面探査車「有人与圧ローバー」の実物大模型が世界初公開! 日本が開発を担当することになっていて、まるで月面を走る宇宙船。この中が与圧されて地球上と同じ環境を保てるので、宇宙服を着ずに2人の宇宙飛行士が1ヵ月ほど暮らすことができます。もちろん移動しながら探査もできます
ゴムが使えない月面でも柔軟に変形するローバーの金属製タイヤ
こてつくんが宇宙アカデミーのみんなと協力して本展をもっと楽しめるようクイズを考えました! パネルで問題を出題しているのでチャレンジしてね!
会場に入って最初に見られるのがH3ロケットのショートフェアリング。短いものですがそれでも10mの長さがあります。それを4分の1カットして横に寝かせた形で展示
フェアリングというのは、ロケットの先端、画像の赤丸部分で、中には探査機や人工衛星が入っています。
フェアリングはロケット打ち上げ後に日本の近海、小笠原の西側付近に落下します。写真は実際に使用して落下したH2Aロケットのフェアリング
日本の新たな基幹ロケット「H3ロケット」の模型
火星衛星探査計画「MMX」は2026年度に打ち上げ、火星の衛星フォボスから20g以上のサンプルを採取して2031年度に地球に持ち帰る、成功すれば世界初となるミッションに挑む。展示されているのはMMXの2分の1スケールのモデルだが、幅4.5mとかなり大きい。「20gのサンプルを取って帰ってくるのに、これだけ巨大で、重さが4.2tもある探査機が必要なんです。そしてこれを打ち上げるロケットは600tぐらいあり、火星の重力圏に入り、出て、そして地球に帰ってくるってのがどれだけ大変か、それをこの大きさから感じていただければと思います」と戸梶歩先生。MMXプロジェクトの主任研究開発員も務めている

さらに、映画にもなった「はやぶさ」「はやぶさ2」が持ち帰った小惑星イトカワとリュウグウの貴重な “実物” 粒子や、日本の民間人で初めて国際宇宙ステーションに滞在した前澤友作さんが帰還時に搭乗したソユーズ宇宙船の “実機” も展示するなど、「実物」「実物大」「大迫力」「多種多様な展示物」「最新の観測結果」をキーワードに、世界初も含め全体で60点ほどの展示がされています。

テレビやネットなどでよく見るものから、特に望遠鏡、人工衛星、観測装置などは見たことがないものも多いかもしれませんが、それらの装置に込められた技術者のこだわり、天文学者の熱意なども感じとれる熱い展示になっています。

宇宙に興味のある子どもたちがワクワクすることはもちろん、この特別展をきっかけに宇宙に興味を持つ子どもたちもたくさん出てきそうです。

はやぶさ2の1/5スケールモデル
小惑星イトカワの1/1000スケールモデル。どこかにはやぶさ2がいるので探してみよう!
イトカワから採取した本物の粒子も見られます
小惑星リュウグウから採取した粒子も見られます
リュウグウの粒子は肉眼でも見られます
すばる望遠鏡の1/100スケールモデル
アルマ望遠鏡 7mアンテナ 1/20スケールモデル
さまざまな望遠鏡で撮影された美しい写真も展示。平松正顕先生は「惑星はどうやってできていくのだろう? 星はどうやって生まれてどうやって死んでいくのだろうか? 太陽系外惑星にはどんなものがあるだろうか? 地球みたいな惑星はあるんだろうか? 銀河はどのように進化するのか? 銀河が集まった銀河団というのはどんな性質をしているのか? 、あるいは巨大なブラックホールはどんな姿をしていて、その近くはどんな環境になっているのか? ごく一例ですが、このような謎について今回の展示の中では触れています。このような謎に挑むところで必要になってくるのがそのための道具なんですね」



ところで、どこからが宇宙で
どこからが “深” 宇宙?

一般的には高度100km以上(アメリカの空軍では80km以上)を宇宙としているそうですが、では本展の「深宇宙」はどこからなのでしょうか? 今回は電波法で定義されている200万km以遠としています。静止衛星軌道の高度は3万6000km、月までは38万km、火星はもっとも近づくときで5500万kmなので、月と火星の間から先が深宇宙、そして今の技術では、単位が変わりますが135億光年ぐらい先の天体が見えるそうです。
※光年は光が1年間に進む距離を表す単位で、1光年は約9兆4600億km。月までは1.3秒ほどで到着します。

特別展「深宇宙展」では、地球から宇宙に行くためのロケットや地上に設置されている巨大な望遠鏡、地球のまわりを回る人工衛星、そして月探査機や火星の映像、そして135億光年の彼方と、身近なところから深宇宙へと旅するような展示構成になっています。

特別展「深宇宙展~人類はどこへ向かうのか To the Moon and Beyond」は、2025年9月28日(日)まで日本科学未来館で開催!

ロケットに触れる機会なんてめったにありませんが、本展では実際のロケットに使われている部品を触わることができます。普段は種子島で展示されてるもの借りて展示
ロケットは全体の90%以上が燃料で、積んでいる人工衛星や探査機は1%にも満たない重さ。そのためいかに軽く、しかも強くつくるかが大事。ロケットの部品を持ってみると、「こんなに軽いんだ」と驚きます
前澤友作さんが帰還時に搭乗したソユーズ宇宙船の実機も展示。上を見ると、そのときに使われたパラシュートが
あああ
前澤さんを含めて3名の宇宙飛行士が搭乗して帰還したソユーズ。3人だとかなり窮屈そう
大迫力の映像で火星を体感できる火星ツアー。NASAなどの探査機から送られてきたリアルな火星の映像を活用している
壁面と床につながって映像が表示されるので、まるで火星にいるかのような没入感を感じられます。現在も火星で活動を続けているNASAの火星探査車「パーシビアランス」も見えます

これからの宇宙の主役は子どもたち!
戸梶歩先生にプチインタビュー!

ー 特別展「深宇宙展~人類はどこへ向かうのか」で、子どもたちにはどんなことを伝えたいですか?

今、宇宙開発・宇宙探査はものすごくダイナミックに動いています。2027年に予定されている「アルテミス計画」では月に、そして火星の探査にも人が行くような時代になろうとしていて、そのときに主役になるのは、今のお子さんたちです。なのでこの特別展「深宇宙展」を見て、次の世代として宇宙開発や宇宙探査をやってみたいと思ってもらいたいですね。

ー 親も宇宙についてそれほど詳しくありません。展示を見ながら、子どもたちをどうフォローすればいいですか?

各展示物にはわかりやすい紹介パネルを用意しているので、それを読んでお子さんに噛み砕いて説明していただければと思います。また、こてつくんからの「宇宙なんちゃら 博士クイズ」もあるので、一緒にチャレンジしてみてください。

ー 宇宙に関わる仕事をするには、今、子どもたちはどんな勉強をするといいですか?

エンジニアとしてローバーなどの開発に携わりたいなら、中学や高校では数学や物理、科学などの理系分野、大学では航空宇宙や、機械、電気、電子などを勉強するといいと思いますが、ローバーなどは幅広い知識を持った人たちが協力しないとつくれないので、理系分野をがんばって、工学部に進んでもらえれば、何らかの形で携われる機会があると思います。でも極論を言えば、宇宙でも今と同じいろいろな仕事が必要で、今ある仕事の延長線上に宇宙があると思います。なので “宇宙が好き”. という気持ちがあれば、得意なことで貢献していけると思います。

宇宙の奥深さを感じて!
平松正顕先生にプチインタビュー!

ー 特別展「深宇宙展~人類はどこへ向かうのか」で、子どもたちにはどんなことを伝えたいですか?

宇宙はものすごく広いので、行くにしても、遠くにある星を見るにしても、いろいろな道具をつくって、それをうまく使う必要があります。特別展「深宇宙展」ではいろいろな道具も展示していますが、実物はものすごく大きいので縮尺模型になっています。ぜひ実物の大きさを想像してみてください。そして道具には細かいところにもすべて意味があるので、それを感じとっていただけると、そこには奥深い世界が広がっているのがわかると思います。

ー 親も宇宙についてそれほど詳しくありません。展示を見ながら、子どもたちをどうフォローすればいいですか?

天文学者もわからないから研究しているんですよね。なので、望遠鏡で観測された画像を見て、「これはなんでこうなっているんだろう?」というポイントを、お子さんと一緒に見つけていただければと思います。その理由がわかっていることもあれば、天文学者にもまだわかっていないこともあります。まずは、「なぜこうなているのかな?」と気がつくことが大事です。

ー 宇宙に関わる仕事をするには、今、子どもたちはどんな勉強をするといいですか?

宇宙の謎を解くためには、理科はもちろん、望遠鏡やカメラカメラ、人工衛星などのものをつくるためには工学が必要ですし、今は国際協力が必要不可欠なので英語と、いろいろな知識が必要で、あらゆるものが役に立ちます。興味のあることはどんどん勉強してください。

ー 2025年4月23日(水)に「未読の宇宙」という宇宙研究の最前線についての常設展示が一般公開されました。それとはどんな違いがありますか?

宇宙を調べる手段は昔は望遠鏡しかありませんでしたが、今では電波、赤外線、X線、ガンマ線、ニュートリノに重力波など、目に見えない光を使ったたくさんの観測方法があり、さまざまな手法を駆使して宇宙を調べているのが現代の天文学です。「未読の宇宙」は光の仲間ではないものから宇宙の姿をキャッチします。そうすると、望遠鏡で見えるものとは異なる、望遠鏡ではわからなかった宇宙に迫ることができる、謎を解くヒントを探れます。特別展「深宇宙展」では主に望遠鏡を展示していて、どちらも見ていただけると、宇宙観測について深く知ることができます。