2017年9月29日(金)勇気と感動のロードショー!

映画レビュー『ドリーム』(2D・字幕版)

2017年9月29日(金)、勇気と感動のロードショー!映画の感想・批評・レビュー『ドリーム』(2D・字幕版)2017年9月29日(金)、勇気と感動のロードショー!
ドリーム

2016年/アメリカ/カラー
配給:20世紀FOX映画
© 2016Twentieth Century Fox

【映画紹介・予告編】ドリーム

鑑賞日:2017年8月18日(金)
TEXT:キッズイベント 高木秀明

困難に立ち向かう勇気をもらえる
大人も、子どもも
夢に向かい努力しているすべて人に観てほしい

米バージニア州で2017年8月12日に起こった白人至上主義団体と反対派が衝突した事件で、「双方に非がある」と指摘したトランプ大統領が猛烈な批判を浴びている。白人至上主義者やKKK(クー・クラックス・クラン)と、それに反対する勢力とを同列に論じ、明確に批判しなかったことが人種差別者を擁護していると思われたためだ。

2017年9月29日(金)に公開される映画『ドリーム』の舞台も、当時は「ジム・クロウ法」はびこるバージニア州。NASAのラングレー研究所があり、そこで働く、1959年〜1963年にかけて実施されたアメリカ初の有人宇宙飛行「マーキュリー計画」を成功に導いた3人の黒人女性、キャサリン・ジョンソンドロシー・ヴォーンメアリー・ジャクソンの実話をもとにした “知られざる” 活躍を描いている。

“分離すれども平等”と今より激しい差別や偏見と戦いながら、「マーキュリー計画」の成功、自身のキャリアアップや黒人の地位向上など、それぞれの夢に向かう3人の姿に、アメリカではあの『ラ・ラ・ランド』を超える大ヒットを記録した。マーティン・ルーサー・キング・ジュニアの有名な演説「I Have a Dream」が行われたのと同じころ、彼女たちも必死で戦っていたのだ。

今のようなコンピュータがない当時、ロケットの打ち上げに必要な計算は “人力” で行なわれ、その計算を行なう黒人女性グループがあった。そのなかのひとりキャサリン・ジョンソン(タラジ・P・ヘンソン)は天才的な数学者で、ロケットの軌道を計算する宇宙特別研究本部のメンバーに抜擢される。喜んだのもつかの間、そこにいるのは白人男性のみ、黒人女性の使えるトイレすらなかった。同僚のドロシー・ヴォーン(オクタヴィア・スペンサー)とメアリー・ジャクソン(ジャネール・モネイ)も理不尽な障害にキャリアアップを阻まれてしまう。

2017年9月29日(金)、勇気と感動のロードショー!映画の感想・批評・レビュー『ドリーム』(2D・字幕版)

3人の功績は近年までほとんど語られていない。こんな事実があったことに多くの人が驚くとともに、夢を叶えるサクセスストーリーに心動かされた。特にキャサリンは10歳で高校、18歳で数学とフランス語で学位を取得した天才で自分と比べるべくもないが、彼女たちが卑屈にならず、自らを主張する姿には学ぶべきところがある。実力があってこそ、でもあるが。

またジャネール・モネイ演じるメアリー・ジャクソンは、NASAのエンジニアに必要な白人の大学でしか取得できない学位のため裁判を起こして入学を認めさせるが、そこで裁判官を説得した言葉には誰もが “しびれる” はずだ。入念なリサーチと嫌味なく自尊心をくすぐることで “やられたな” とニヤリとするしかない。知性ある人は戦い方もスマートだ。誰も傷つけず、しかも味方にすらしてしまう。このセリフを聞くだけでも、この映画を観る価値はあると思う。

「前例」や「ルール」は今の私たちの前にもたびたび立ちはだかる。彼女たちもそれを盾に差別され続けた。しかし前例はつくるものだし、ルールは変えられる。誰がその決定権を持っているかを見極めること、主張することが大切と、この映画からは、困難に立ち向かうときの勇気と知恵をもらえる。

なおメアリー・ジャクソンを演じたオクタヴィア・スペンサーは、映画『ヘルプ 心がつなぐストーリー』(2011年)でアカデミー賞助演女優賞を受賞した。同作も1960年代の公民権運動を題材としている。

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